伝えたつもりが伝わらない、何を言われているのかわからない――。そんな言葉足らずな会社の同僚・上司に悩んでいる人が、実に少なくありません。もし、あなたもそんな言葉足らずな人に指示を受ける立場になったらどうでしょう。とても大変な思いをするはずです。では、どうして言葉足らずな人たちは、きちんと説明ができない、しないのでしょうか?

 おそらくそんな人たちも、自分が伝えたいストーリーは決まっているはず。ところが、いざ話し出すと、やはり言葉足らずになってしまい、相手は「??」と理解不能な状態に陥ってしまします。では、周囲がそんな場面に遭遇したとき、彼らにはどう対処したらいいのでしょうか?

 実は相手によって言葉足らずである理由は違うため、個別の対処法を考える必要があるのですが、今回はその方法をみなさんに紹介したいと思います。

「これってどうなってるの?」
主語のない問い合わせで困惑する現場

「主語さえあればスムーズに伝わるのに、無いから困ります」

 そう嘆くのは、住宅建材メーカーの管理部門で働いているEさん(27歳)。購買的な仕事から用途品の管理など、各種雑多な分野を任されています。ゆえに社内からの問い合わせや経営陣から頼まれる急な依頼への対処まで、仕事は多岐にわたっています。

 そんなEさんがストレスに感じている問題が1つあります。それは「主語がない問い合わせ」をしてくる同僚について。ちょうど昨日も、「主語がない問い合わせ」がありました。その主は本社の隣にある、別館に勤務している後輩社員Tさん。夕方に電話で突然、

「これってどうなっているのでしょうか?」

 と、質問をしてきました。ただ、何を聞きたいのか、あるいは問いたいのか、まったく理解できませんでした。そこで、

「落ち着いて話してください。“これ”は、何を指しているのですか?」

 と聞き返えすしかありません。管理部として適切な回答をするために、質問内容を正確に把握する必要があります。管理部に配属されて間もない時期、相手の要望を十分に聞かなかったため、

「そんなことを頼んだ覚えはない。しっかりしてくれないと困る」

 と営業現場から叱られたことが何回もありました。このときの苦い経験が要望をしっかり聞き出す必要性を知る機会になったようです。ゆえに、曖昧な問い合わせがあれば、しっかりとその内容を聞き出すことにしています。