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【データ分析と競争優位性】
なぜ、思いつきや勘だけで経営してしまうのか?

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第8回】 2013年12月27日
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ビッグデータ時代の到来

 企業が取り扱う情報やデータの量は級数的に増加している。以前であれば、企業が取り扱うデータは、基幹系業務システムに対して入力されるテキストおよび数値を主体とした、いわゆる「トランザクション・データ」が中心であった。また、ここで発生したデータを時系列に蓄積するなどして作成されたデータウェアハウスも、数百ギガバイトあるいは数テラバイトという単位が一般的であった。

 しかし、インターネットや各種デジタルデバイスの普及がこの状況を一変させた。コンピュータの処理性能の向上や記憶装置の保存容量の拡大がこれを可能にしたという見方も一面ではできるが、これらは需要に応えるために進化してきたと見ることもできる。

 さらに、人の手による入力だけでなく、システムログやセンサーデータのように自動的に生成されるデータが、データ量の拡大を助長している。人が意識しないうちにデータは次々と生成されており、その勢いは加速の一途をたどっている。まさにビッグデータ時代の到来といえる。

 誰かがWebサイト上のどこかを閲覧したりクリックしたという動作、また誰かがICカードをかざして改札口を通過したといった、一見何の意味ももたない些細な事実は、見方によってはゴミのようなデータともいえるが、それをビジネスに活かそうと考える人にとっては宝の山になり得る。大量にデータが存在するほど、分析によって得られる価値は高まるといえる。

経営者はデータを生かしきれていない

 時々刻々と新たなデータが生成され、企業情報システムには大量の生データが保存されているが、十分に活用できている企業は少数派といわざるを得ない。

 それらは蓄えられているだけであったり、活用されないまま捨てられている。また、あまりに膨大な量であるために、そのなかからビジネスにとって有益なものを見つけられなかったり、データが散在していたり形式やコード体系が異なるために分析が困難であるといった技術面での問題も存在する。

 経営データのような企業にとって重要なデータであっても、担当レベルから部門長レベル、そして経営層レベルへと報告されるたびに要約され、経営者の目に触れる時には1枚のレポートとなっていることが多い。そのため、経営者はそこに記載されていない詳細な情報を得るために、事業責任者や中間管理者に説明を求めるわけだが、多くの場合定性的な説明にとどまり、それが事実に基づいた報告であるかは何の保証もない。

 就業管理のデータは、従業員に給与や残業手当を支払うためだけに利用され、部門別、年齢別、役職別のワークロードの適正化や業務改善のために役立てられていない。また、企業情報システムへのアクセスログや操作ログは、何か障害や不正行為があった時に原因を追跡するために蓄積されているが、セキュリティ対策の計画やサービスレベルの向上のためには活用されていない。

 マーケティング部門では、顧客ニーズの収集のためにアンケート調査を数多く行っているが、特定の商品や期間の販売促進のためにだけに利用され、商品企画部門や研究開発部門にフィードバックされておらず、商品の改良や新商品の開発には活かされていない。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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