カントリーリスクをどう考えるか

 会の後半には、Fin Tech Global Capital (フィンテックグローバルキャピタル)合同会社 マネージング・パートナーの本藤孝氏と、iland6(アイランドシックス)Capital and Development 取締役の江副浩氏が加わって、パネル・ディスカッションが行われた。

 まず、イスラエル企業3社に投資している本藤氏は、「『なぜイスラエル企業に投資するのか』と聞かれるが、イスラエルに投資するのは当たり前のことでむしろ、『なぜイスラエル企業に投資しないのか』と聞きたい」と発言、起業家がいて資金もあり、弁護士ほかインフラも整っているイスラエルは、シリコンバレーに次いで投資に適した地であることを強調した。

 カントリーリスクについては、イスラエル企業の日本での事業展開を担う江副氏から「治安と戦争は違う。イスラエルの街の治安は非常によく、日本の新宿あたりのほうがよほど危険ではないか。さらに戦争も実はマネージされた戦争で、アラブ側からミサイルが発射されると、かなり早い時点で着弾地点が特定され、危険だから入るなとアナウンスされる。おかげで安全な場所からミサイルが撃ち込まれるのを見ることができた。最近では着弾前に100%に近い精度で迎撃できるようだが……」という興味深いエピソードが披露された。

 サムライインキュベートが世界の中でもイスラエルを高く評価する理由を、榊原氏は「中東の関西。皆が話しかけてくれて、道に迷えばオバちゃんが目的地まで一緒に来てくれる。その場で決め、レスポンスが速い」と語り、ヨーロッパの企業にも投資経験のある本藤氏は「3週間平気でメールを見ないフランスのベンチャー企業のCEOと比べたら、イスラエルのほうがはるかに仕事をしやすい」と、賛同した。


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