経団連、経済産業省が音頭をとって、「世界省エネルギー等ビジネス推進協議会」という業界団体が設立された。既に、69の日本有数の企業・団体が加盟している。2月にはインドのバンガロール、3月にはカリフォルニアで積極的なプロモーションが行われた。また、ウォールストリートジャーナルほかの英字紙に意見広告を掲出した。今回は、その意義について考えてみたい。

 前回見たように、日本の環境技術を世界に売り込むことには、大きな商機がある。ここでいう環境技術とは、おおまかに、①水や大気の浄化のような公害対策のための環境技術、②新エネルギーのための技術・システム、③省エネのための技術・システムに分かれる。

 先進国のニーズ、新興国のニーズと、技術に対するニーズは地域によってそれぞれ異なっており、例えば、欧米のグリーンニューディールでは、②の新エネルギー(再生可能エネルギー)に力点が置かれており、中国、インドなどの新興工業国では、①のいわゆる環境対策技術に近々のニーズがある。

 日本企業は、①、②、③のいずれの分野でも、広範な技術を有しているが、省エネ技術の分野で、この度、オールジャパンとも言える業界団体が結成されたのは興味深い。

 同協議会の事務局長、菅沼希一氏に話を聞いた。同氏によれば、従来から環境の分野では日本の政府と企業の連携で、ODAといった国際協力が行われてきたが、国際貢献のアプローチでは、経済的な基礎を欠くため、継続性がなく、事業としての拡がりを見ることが難しかったという。

 新興国の経済成長や、資源制約による環境技術へのニーズの高まりによって、本分野でも、いよいよビジネスベースでの展開が可能になってきた。当然、各企業とも、それぞれのグローバル戦略に基づいて、それぞれに営業活動を展開している。しかしながら、環境分野では法規制などのいわゆる非関税貿易障壁が多々あり、一企業での対応が難しいこと、また、照明や空調といった個別のパーツによる提案ではなく、パッケージとなった一つのソリューションとしての提案が有効なことが、今回の協議会の結成の意義だそうだ。