カタログの中を見ると、例えば、日立造船のガスタービン・コジェネ発電システムや、コマツの小型AC Servo Press のように、既に海外でも販売実績のある装置も紹介されている。しかし、大半の製品は最新の技術であるためか、海外での販売は未だ計画段階にとどまっている。

 これらの製品を、法規制や経済・社会状況が異なる各国に広めていくことを考えると、製品がそのままの形で、すぐに販売できることはむしろ稀であろう。即ち、現地に即したスペックの変更も必要になるであろうし、販路やアフターサービスの体制を整備することも必要になってくる。これは、セールス・マーケティングだけの話ではなく、業務提携、M&Aにつながってくる話だ。

 すでに欧米の投資ファンドは、「クリーンテック」分野における日本での投資機会に強い関心をもっている。また、投資ファンドでなくとも、これからクリーンテック分野でグローバルな再編が起きるであろうことを考えれば、欧米や、場合によっては新興国の同業他社で、M&A戦略を練っている会社にとっては、格好の技術カタログのように見える。

 つまり、環境技術のグローバル市場化は、一方で、日本企業による新市場での提携・買収戦略につながり、他方ではグローバル企業による日本企業の有する技術に着目した提携・買収戦略につながる。

 このカタログは、日本の大手企業が紹介されているものだが、未上場の中堅企業や時価総額が1000億円以下のいわゆる、ミッドキャップ企業への海外投資家・企業からの関心は非常に高い。水面下で、様々なレベルのコンタクトが始まったところだ。

 必要があるところに発明は生まれる。日本は、1970年代の石油危機以降、企業・政府部門をあげた精力的な取り組みを行った結果、過去30年間で37%もエネルギー効率を改善している。

 これまでも、政府開発援助(ODA)を通じて、同分野での、アジアほかの新興国とのつながりは小さくない。もとより、日本の技術を売り込んでいく主体は、企業にほかならないが、政府ベースでのノウハウの蓄積や、需要国とのつながりを、ビジネスベースにうまくバトンタッチしていくことは、決定的に重要だ。

 被援助国の自立的な経済発展と日本企業の有する技術の世界標準化を達成することができなければ、これまで税金を使ってきたことは全く正当化されなくなってしまう。多くの関係者の努力を切に期待したい。