一長一短の燃料調達リスク
時代で変わるベストミックス

 再生可能エネルギーを大量に導入しても、しばらくの間エネルギーの中核になるのは化石燃料である。しかし、石油や天然ガスは国際的な価格変動の影響を受けるため、これらに頼り過ぎることは中長期的に見てエネルギー調達のリスクを高めることになる。石炭は賦存量が豊富なため調達価格のリスクを受けにくいが、環境負荷が大きいため、政策的なリスクを受けやすい。

 再生可能エネルギーは国産である上、文字通り自然環境のなかで再生されるので調達リスクは少ない。現状、化石燃料由来のエネルギーに比べるとコスト高だが、化石燃料由来のエネルギーのコストが右肩上がりにあるのに対して、再生可能エネルギーのコストは技術革新などで低下傾向にあるので、発電コストの差は縮まる傾向にある。

 しかし、自然由来であるため出力変動の吸収に要するコストが送電線運営あるいは需要側に発生するのは避けられない。また、気候変動の影響などを考えると、長期的な発電環境がどれほど安定するか読み切れない面もある。

 このように、調達リスクを低減するという観点で見た場合、どのエネルギーにも一長一短がある。そこで、各々の弱みを補い合うことで、総体としてエネルギーの調達リスクを下げるポートフォリオを組み上げることが、エネルギー政策の基本となる。

 問題は、どのようなポートフォリオが日本にとってベストミックスになるか、が時代によって変わることだ。言い換えると、現世代には長期的な視野でエネルギーベストミックスを見出すための十分な知見がない。そこで重要になるのが、将来世代に対して、できるだけ多くのエネルギーの選択肢を引き継ぐことである。

必ずしも安くない原発の発電コスト
安全対策や賠償が大きな負担に

 原子力発電の再稼働を急ぐべき、とする理由として最も多く挙げられるのはコストである。福島第一原子力発電所の事故後、原子力発電が停止し3兆円程の国富が化石燃料を調達するために海外に流出しているからだ。

 しかし、当該事故の後、リスク対応と安全対策に要するコストにより、原子力発電は必ずしも安い発電手段ではなくなっている。

 2011年12月に「エネルギー・環境会議 コスト等検証委員会」が提示した報告書で、原子力発電のコストは8.9円/kWhとされた。報告書では福島第一原子力発電所の賠償等に関わる費用が十分に含まれていなかったため、これが10兆円を超えると想定した場合、原子力発電のコストは9円/kWhを優に超える。