2014年入り以降の株式市場は波乱の展開となっている。13年12月の米雇用統計が大きく下振れたことから、世界の株式市場の下落が鮮明になった。その後、アルゼンチン・ペソ急落が新興国経済への懸念を高めたことで株価の下落ペースが加速した。

 ただし、注目すべきは「米国の経済指標悪化は寒波の影響が大きい」という点、「新興国の外貨準備や対外短期債務の水準などからは通貨危機は起き難い」という点のいずれもが市場のコンセンサスとなっているところだ。世界経済を悲観する向きが非常に少ない中で、株価が大きく調整している。

 株価の下落に大きな影響を及ぼしているのはFRB(米連邦準備制度理事会)の量的緩和縮小だろう。昨年までの世界の株価上昇が、リーマンショック後の世界経済の回復をよりどころとしている点については疑う余地はない。他方、FRBがバランスシート拡大で長期金利低下を促し、金融システムへの流動性供給を拡大してきたことが、株価上昇の大きな要因であったこともまた確かだろう。

 FRBのイエレン新議長は、就任後初となる議会証言で量的緩和縮小を継続すると発言した。しかし、資産インフレへの懸念、新興国経済と米国経済のデカップリング構造、タカ派寄りにシフトしたFOMC(米連邦公開市場委員会)のパワーバランスを考えれば、多少の株安を受けても方針の変更は期待し難い。FRBバランスシート拡大が止まると予想される14年秋以降を先取りする格好で、今後も株式市場の上値を抑制する売りが出てくるであろう。