組織全体がダメになると
自分もダメになる個人

 私は四半世紀にわたり、さまざまな規模や業種、社歴の会社で、経営改革やリスク管理体制の構築を実務的にお手伝いしてきました。普通のコンサルタントとは異なり、顧客企業の内部に自分のデスクを置いてもらい、そこの社員や組織がどのように動いているのかを目の前で見て、同時に自分自身も当事者として動き、組織のうねりに巻き込まれる体験をしてきました。

 その中で見てきたものは、自立と自律ができていない個人と、ムードに支配されている組織です。先ほどもご紹介したように、これを「子ども病」という言い方で総称しています。

 日本においては、今でこそ、「モチベーションアップ」が大事などとよく言われるようになりましたが、それは90年代以降のことで、以前は「モラールアップ」が大事だという言い方がなされていました。個人に焦点を当てた「モチベーション」ではなく、集団の士気「モラール」をより重要視してきたのです。

 ところが、成果主義の時代に入り、昇進や給与で明確に個人間の差をつけ始めると「みんなで力を合わせてがんばろう!」と大声では言いにくくなり、モラール(集団)からモチベーション(個人)へのシフトが図られました。しかしながら、個人のモチベーションは、実際には相変わらず集団のモラールの状況に大きく依存しています。

 本来、仕事の遂行に対して個人が持つ「モチベーション」は、社員が十分に自立かつ自律しておれば、内発的な動機によって支えられ、組織や集団からの影響からある程度独立して機能しても良いはずです。

 しかし実際には「うちの新商品ではダメだからモチベーションが下がる」、「おべんちゃらを言う奴ばかりが出世するからモチベーションが上がらない」と多くの人が嘆いているように、外発的な要因に強く左右されているのです。そしてモラールは、ほぼ会社の業績に比例して動きます。業績が悪い中で士気が高い組織など滅多にありません。

 要するに、組織全体がうまくいっていると自分もうまくいくが、全体がダメになると自分もダメになるというわけです。これは非常に子どもっぽい状況ではないでしょうか。