今年4月、三井住友銀行は組織を大再編し、国内の営業体制を一変させる。ここまでに費やした時間はなんと2年。徹底的に現場の実態把握を行った三井住友は、その間、どんな課題に直面し、新体制でそれをどう解決に導こうとしているのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

 さかのぼること1年半ほど前の2012年秋、三井住友銀行では、経営企画部や研修所など、本部を中心に複数の部署から集められた数十人の行員が、とある特別ミッションに挑んでいた。

 そのミッションは「フィールドワーク」と呼ばれていた。学術研究の場でよく耳にする「実地調査」のことだが、いったい彼らは何を調査していたのか。ズバリ、自分たちの営業体制の実態を徹底調査していたのである。

 今年4月、三井住友は組織の一大再編に踏み切り、国内の営業体制を一変させる。すべては、11年4月に頭取に就任した國部毅氏の危機感から始まった。

「顧客のニーズに現体制は本当にフィットしているのか」──。

 一つは大企業への対応。次の図をご覧いただきたい。現状、大半の大企業については本店の営業部が業種別に取引している。が、現体制になった当時まだ中堅企業だったような一部の大企業は、いまだに中堅・中小企業を主な取引先とする法人営業部と取引していることがあるのだ。

 これでは、せっかく本店の営業部に蓄積されている業種別の知見や、海外、証券業務のノウハウが生かし切れない。