メーカー側にとっては、小売り側の持つ消費者動向や志向などを基に商品開発ができること、工場の稼働率アップができること、取引内容によるが在庫リスクを減らせることなど、こちらもメリットがある。
増税を前にPBを強化するという対策を打てるのは、2013年2月期でセブン&アイが連結営業収益4兆9916億円、イオンが同5兆6853億円という、圧倒的な販売力を持っているからだ。販売力や商品開発ノウハウがない中堅以下の小売りグループは、なかなかこうした対策を講じる事はできない。
価値追求のセブン
価格訴求のイオン
ただし、セブン&アイとイオンとでは、若干方針が異なる。
「価格に対する商品価値」のバランスにシビアになる消費者に、セブン&アイは商品価値を上げて、消費者にお得感を訴えていく方針だ。
「ただ単に安くして、消費を刺激していく事はしない。価格競争を仕掛けていって、その先に何があるのか。体力勝負で消耗するだけだ」
同グループ内からは、そんな声が漏れてくる。
しかし、商品の価値を上げると言っても、それはいばらの道だ。消費者の志向は移ろいやすく、飽きも早い。それだけに、「価値」も変わりやすく、掴みにくい。そのスピードについていけるのかどうか、さらに消費者の求める価値にがっちりはまった商品が生み出せるのか。
セブン&アイが、あえていばらの道を進んでいけるのは、「金の食パン」というヒットを生み出せた自信があるからだろう。

「金の食パン」は同グループが展開するPBのなかでも、高付加価値のシリーズである「セブンゴールド」の商品で、2010年からスタートしている。「金の食パン」は価格が250円(6枚切り)と、通常の食パンの倍近い価格ながら、爆発的に売れて、発売2週間で65万個を突破。食パン分類の売り上げ金額は発売前後比で1.5倍に跳ね上がった。2月末累計で2000万食販売している。これはセブンプレミアムの食パン(6枚切り、118円)の2倍に達している。
同グループは2013年度、グループ全体でセブンプレミアムの販売目標である6500億円をクリアした模様で、今後も増やしていく方針だ。