今年1月にインドのバンガロールで行われた記者会見での菊池廉也・ラーニングシステム社長(後列左から2人目)
Photo: Learning Systems

インドのシリコンバレーで高い評価

 イノベーションを生み出すことができる人材を増やすことを目的として、幼児から中高生を対象に、理工系科目の基礎となる教育を従来の縦割りのカリキュラムではなく、統合して行おうとする教育手法がある。科学・技術・工学・数学の英単語頭文字とってSTEM教育と呼ばれ、アメリカでは教育分野のみならず、移民政策や雇用政策でも積極的に活用され、イノベーションを通じて国力の増強を図る国家的な戦略の一端を担っている。

 日本国内での関心はまださほど高くはないが、埼玉大学では2002年からSTEM教育研究センターを開設し、同センターを拠点に、ロボットやレゴブロックなどを教材として活用するSTEM教育カリキュラム「SCCIP」(スキップ)の普及に注力している。

 同研究センターとカリキュラムを共同で開発し、「SCCIPメンバーシップ教室」を国内で展開してきたラーニングシステムの菊池廉也社長が今、力を入れているのがインドでのSTEM教育の普及だ。国内での教育活動はアフタースクール(塾)形式が中心だが、2011年に進出したインドでは、就学機会に格差がある国情を考慮し、教育環境に恵まれない児童でもSTEM教育に接する機会が得られるインスクールでの展開を推進している。

 進出以来、採用校数は毎年倍のペースで増え2013年8月までに7校、約6500名の生徒が体験している。インドのシリコンバレーと呼ばれ、世界的なIT企業の拠点も多いカルナータカ州バンガロールにある名門私立学校「ビショップ・コットン・ボーイズ・スクール」が13年8月に採用を始めたことで、その名はインド全国に知れ渡った。

 さらに今年初には、カルナータカ州の2校の公立学校での試験的な導入が決定し、結果をみて州内だけでも数万にも及ぶ公立学校での採用も検討される。菊池社長も出席した現地での発表会見は、複数のテレビニュースや主要紙が報道し、大きく注目を集めたようだ。