年が変わり、個人投資家であれば株主優待が気になるシーズンとなった。
そんな折、今週7日にリース会社のリコーリースが、ユニークな発表をした。「株主優待込みの配当利回りのお知らせ」というものである。
本来、配当利回りというのは、「1株あたりの配当÷株価」で算出されるが、同社の場合は、株主優待を1株あたりに金額換算した上で、「(1株あたりの配当+株主優待額)÷株価」で、「株主優待込みの配当利回り」として計算している。
この企業の株主優待は、クオ・カードか図書カードを渡す金券方式で、株の保有期間に応じて優待額が異なる。所有株数に関わらず一律給付で、保有期間1年未満の株主には3000円(1単元100株保有の株主の場合1株あたり30円)、1年以上3年未満は4000円(同40円)、3年以上は5000円(同50円)の金券が付与される。
仮に優待が無い場合の年末の株価を基準とした配当利回りは1.31%だが、3年以上の長期保有者は優待込みの配当利回りで3.4%になる(100株保有株主の場合)、と会社自らがアナウンスした。
大口株主に不利な優待は
株主平等の原則に反する
これにはいくつか問題がある。まず、保有期間に応じて差を設けている点だ。長期ホールドしてほしいという会社の願いはよくわかるが、保有期間の長い株主を優遇することに合理的な説明ができるのかどうか。これから先の保有に関する差ではなく、これまでの保有期間に応じて差を設けることの是非もあるだろう。
もう1点は、大口の株主に対する差別の問題だ。同社の場合、持株数に関わらず株主に一律付与しており、小口に対して、大口の株主は不利となってしまう。上記の例でいえば、10万株を3年以上保有していても、100株の保有株主と同様の5000円の金券が付与されるのみであり、1株あたりでは0.05円にしかならず、「優待込みの配当利回り」は1.31%と、優待がない場合と殆ど変わらない。会社法109条1項では、「株式会社は、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」と規定しており、この「株主平等の原則」に反するのではないかという疑問が払拭されない。