「マネジメント界初の女性」と称されることの多いリリアンは、産業技術者協会(1921年)とアメリカ機械学会の初の女性会員となった。また、女性で初めてギルブレス・メダル、グラント・ゴールドメダル、CIOS(国際科学的経営管理協議会)ゴールドメダルを受賞。現在までのところ唯一の女性受賞者である。1995年にはリリアンは全米女性殿堂入りした。

思想のポイント

 作業単純化は、人と仕事の尊厳に対する敬意を背景に、フランク・ギルブレスがレンガ積み職人として働き始めた17歳のときから開発し始めたものだ。彼は個人差のあるレンガの積み方を記録、観察し、最も効率的な方法を割り出した。フランクにとって、効率とは雇用者と従業員の双方に利益をもたらすものであった。雇用者にとっては積み上げるレンガの数が増え、従業員にとっては作業負荷が減り疲労やケガのリスクが低減されるという、それぞれの利点があった。フランクは詳しい分析により新しい積み上げ方法を開発し、作業員1人当たりの1日の積み上げレンガ数を1000個から2700個に増やした。

 フランクの効率性研究のもう1つの適用例は、現在の世界中の病院の手術室で目にすることができる。彼が効率性研究を行なう前は、執刀医は手術に必要な器具のすべてを自分で見つけなければならず、患者が手術台で横たわっている貴重な時間を無駄にしていた。フランクは看護師が執刀医の手に必要な器具を手渡して補助する方法を導入した。

 フランクは家庭でも効率的なシステムを真剣に考えた。『1ダースなら安くなる―あるマネジメントパイオニアの生涯』(Cheaper by the Dozen)の中で、彼が髭剃り時間を17秒節約するために石鹸の泡を塗るのに髭剃り用ブラシを2本使っていた様子が描かれている。しかし彼はカミソリを2本使うことはあきらめた。髭剃り時間を44秒節約したものの、切り傷に絆創膏を貼るのに2分余計にかかってしまったからだ。

 子供たちも全員、両親の効率性追求のターゲットだった。子供たちには皆それぞれ、家族の誕生日プレゼントを買うとか、家族予算会議の議長を務めるといった仕事が与えられた。

●サーブリッグ
 ギルブレス夫妻は、手の動作研究において「手を動かす」という描写は一般的すぎて詳細な分析ができないことに気づいた。彼らは手の動作を17個の基本動作に分割し、それらをさまざまに組み合わせることにより観察対象の動作を表現できるようにした。

 これらの基本動作は集合的にサーブリッグ(therbligs)として知られている。therbligはギルブレスの綴り(Gilbreth)を反対にしthを逆にしたものだ。

●マイクロクロノメーター
 ギルブレス夫妻は動作研究の中で作業者の動作を記録し分析するために写真を使っていた。自分たちのフィルムを詳細に分析するため、彼らは2000分の1秒まで時間を記録することができるマイクロクロノメーターを開発した。この装置はカメラの視界に置いて時間の経過を記録するもので、今でもときどき使われている。