58万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者佐々木圭一氏と、発売5ヵ月で35万部を突破した『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者坪田信貴さんとの対談・第3回。今回のテーマは「父親が娘に嫌われない方法はあるのか」。日本中のお父さんに贈ります。
『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(構成・森綾 撮影・小原孝博)

父親が娘に嫌われない方法はあるのか

佐々木 坪田さんは、お子さんいらっしゃるんですか。

坪田信貴(つぼた・のぶたか)
株式会社青藍義塾(せいらん・ぎじゅく)代表取締役 塾長、学校法人大浦学園 理事長。自ら生徒を指導する教育者でありながら、同時に、IT企業など複数社を創業した起業家であり、それらの経営者でもある。その活動の場は日米にまたがり、ネイティブ並みの英会話力を誇る。TOEICは990点(満点)。これまでに1000人以上の子ども達を個別指導し、心理学を駆使した学習指導法により、生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。教え子には、「高3の夏まで文系クラスだったが、その後、理系に転向して国立大学医学部に合格した女の子」、「高3時に学年で100番以下だったが、東京大学に合格した男の子」など、異例のエピソードを持つ者多数。愛知県名古屋市在住。

坪田 はい。今、お腹にいます。

佐々木 性別はもうわかりますか。

坪田 まだわかりません。

佐々木 産まれてくるお子さんが、もし娘さんだとして、どうすれば娘さんがパパのことをずっと好きでいられるか。これは、2歳の娘をもつ自分も含め、世の中のパパはみんな知りたいんです(笑)。

坪田 まず注意していただきたいのは、お父さんが優秀だったり、すごい方の場合、子どもがぐれる可能性がすごく高いんです。
 正直、娘が父親を嫌うようになるいちばんの原因は、お母さんがお父さんの文句を子どもに言ってるパターンが多いんです。そうなる理由の一つとして、子育てを奥さんに全部任せっきりで、子どもに何か問題が起こった場合、「お前のせいだろう」となるから。
 奥さんにとっては、お姑さんの存在も重いですよね。お姑さんは、子育てをもう終えて、しかも結果を出されているんです。なので、もし夫が医者だったとして、子どもが勉強嫌いになったとしたら、それは奥さんの遺伝子、あるいは教育のせいじゃないか、ということになるわけです。あるいは、成功者としての無言のプレッシャーを奥さんが感じるのではないかと思います。
 それを夫は「おふくろはそんな意味で言ってないから、気にしなくていい」「好きにやればいいんだよ」と言ってフォローしたつもりでいても、結果的にそれが裏目に出て、逆に奥さんのところに責任が全部いっちゃうんですよね。そこで夫は毎日仕事が忙しくて、子育ても全然協力してくれないっていう状況になったら、奥さんの話し相手は誰もいなくなるんです。

佐々木 そうですよね。

坪田 子育ては24時間態勢ですから、奥さんはストレスがすごく溜まります。で、旦那さんが家に帰ってきたときが唯一、まともに話せるときなんです。だけど、そこで「俺も疲れてるんだよ」なんて取り合ってくれないと、ドーッとさらにストレスが溜まる。でも子どもとは会話できないし、それこそ2歳ぐらいになると「いやいや」言うしね(笑)。
 やがて子どもも大きくなり、ちょっと会話できるようになると「ねえ、もうほんと、お父さん帰ってこないね」ってグチを言うわけですよ。「忙しい、忙しいって言うけど、仕事と家庭どっちが大事なんだろうね」とかって、そういうのを3歳ぐらいから刷り込まれる。

佐々木 繰り返し、繰り返し。学習のように。

坪田 そう。そうすると……。

佐々木 「この人は敵だ」みたいな(笑)。

坪田 特に女性同士は「このアイスクリームおいしいね」なんて些細なことでも共感し合えます。結局そこで強力なタッグが組まれるんで、その場に一緒にいない人は「敵」というふうになるんですよね。

佐々木 なんだかわかるなあ。