利用者は、アリババでの買い物口座から、簡単な操作で、利回り5~6%、解約自由のファンドを購入できる。中国では小口預金の金利は規制下にある。しかし、銀行間市場での大口資金は対象外だ。余額宝は小口の資金をかき集め、それを銀行間市場に持ち込むことで高利回りを得ている。グルーポンと似たネット的発想なのだ。

 このケースにも見られるように、中国の新興企業は規制の隙間を見つけるや否やサービスを開始し、利用者から支持を獲得したら、そのパワーを使って事後的に規制当局にロビイングするという戦略を取っている。顧客保護、金融システムの安定性上は危うさがあるが、共産主義とは思えないスピード感とアグレッシブさだ。

 また、かつて米国でも見られたが、預金と競合しやすいMMFが普及すると、中央銀行が金融引き締め時に準備預金率を引き上げることは難しくなる。準備率が課せられないMMFに対して「アンフェアだ」という声が銀行業界から噴出するからだ。今回の騒動は、長期的には、人民銀行の金融調節を、準備率操作を使わない先進国型のものに変化させていくだろう。

東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)

週刊ダイヤモンド