PCCJの代表はアメリカの大学院で環境人類学を学んだ設楽清和さん。留学中にパーマカルチャーを知った設楽さんは、93年に帰国。知り合いのカナダ人が住んでいたことから藤野町の存在を知る。訪問を重ねるうちに移住を決意する。町の職員に実践と研修の場としてぴったりの農家と農地を紹介してもらい、PCCJの拠点としたのである。日本の風土に適したパーマカルチャーの構築と実践に務めている。

 PCCJは毎年、拠点の農家で塾を開いている。塾生は1泊2日の講義を通年で
10回受ける。定員20名。かくして藤野に全国各地から受講生がやってくるようになった。受講した後、藤野が気に入り、移住する若者も少なくない。PCCJの講座は藤野の他に2ヵ所で実施されている。

学校の統廃合にも早期から取り組み
廃校の校舎にシュタイナー学園を誘致

 少子高齢化と人口減が加速する現在、全国の自治体が本腰を入れて取り組んでいる課題が、公共施設の再配置である。しかし、住民の反発を受けるケースが多く、なかなか進展しないのが実状だ。なかでも学校の統廃合は容易ではない。

 だが、藤野町は早い段階で難題に取り組んでいた。2004年前後から小中学校の統廃合の検討を始め、住民と議論を重ねた。そして、段階的に10校を3校に集約したのである。つまり、7つの校舎が不要となった。

 廃校となった藤野の小学校の校舎に移転してきたのが、芸術と自由を重視した独特の教育で知られるシュタイナー学園だ。NPO法人のシュタイナー学園にとって、悲願は学校法人化となること。構造改革特区という規制緩和により、道が開かれた。学習指導要領の弾力的運用により、シュタイナー教育のカリキュラムを行うことが認められ、校地校舎の自己所有要件も緩和されたからだ。シュタイナー学園は学校法人化を実現させるため、パートナーとなる自治体を必死に探した。そして、人の誘致を掲げる藤野町と出会い、町の廃校を借用することになったのである。

 こうして2004年10月に学校法人シュタイナー学園が藤野に設立された。小・中・高の一貫校で、各学年1クラス、各クラス定員26人。家族そろって藤野に移住するというケースが相次いでいる。