これまで中国一辺倒だった日系企業の海外進出だが、バブル崩壊不安などを背景に、その目が「第二の中国」と言われるインドへ向き始めている。日系企業が成長著しいインドへと進出する際のメリットとデメリットは何か。この度来日したインドの不動産王・アルビン・デビッド・レベロ氏と、その日本人共同創業者である徳山明成氏に、現地事情を詳しく聞いた。日系企業にとって、インド市場は本当に「宝の山」なのだろうか。(取材・文/平岡永一)
来日した現地の不動産王と
日本人パートナーが語るインドの魅力
インドが再び熱い。10年ほど前から注目を浴びているが、ここへきて日系企業によるインド現地でのリサーチ・進出が急増中だ。秒読み段階に入ったと言われる中国バブル崩壊へのリスクヘッジか? 要因は様々あるが、「心理的に遠い国」インドが、やはり日系企業にとって「宝の山」であることは間違いないようだ。
では、インドの真の魅力とは何だろうか。今回、それを探るのに最適な人物に話を聞くことができた。タタ財閥の不動産部門のCEOを務め、インド最大の不動産デベロッパーであるDLFのトップを務めたアルビン・デビッド・レベロ氏と、その共同創業者であり、過去にゴールドマン・サックス証券やカーライル・グループで活躍した経験を持つ徳山明成氏である。
今回来日したレベロ氏は、インドでは「超」のつく有名人。徳山氏はそのレベロ氏と共同創業をし、インドで大型不動産開発事業を立ち上げた日本人初の人物だ。「いま日系企業はインドへ加速度的に進出すべきだ」と2人は口をそろえる。日系企業がインドへ進出すべき理由、インドビジネスの注意点などを聞いてみた。
まず、インド経済はいまどんな状況にあるのか。毎月インドと日本を何度も往復する徳山氏はこう説明する。
「いまインドは高度成長期前夜を思わせる熱気とエネルギーに包まれている。ちょうど2001年頃の上海と同じ空気ですね。中国経済が自由化されたのが1978年。インド経済の自由化は91年だから、いまのインドはちょうど中国の13年前の超高度成長期にさしかかる頃をイメージしてもらうとわかりやすいと思います」