B&C時代に重要性を増す
ブランドのパーソナリティ

「B2CからB&C ―Business & Consumer―」へ移行する時代。言い換えれば、ワンウェイのコミュニケーション以上にインタラクティブなコミュニケーションの重要性が増しているこの時代には、ブランドが発信する情報に加え、ブランドがどのように語り、どのように振る舞うかという、ブランドの「らしさ」、すなわち「ブランドパーソナリティ」が大切な役割を担うと、インターブランドでは考えている。

 マス媒体が大きな影響力を持った20世紀、企業はブランドに関する情報を、ある程度コントロールする側にいた。しかし、生活者のあらゆる体験がSNSを通じて容易に共有される現在、ブランドは360度、365日、生活者の目にさらされ続けている。

 どんなに正しいことを言っても、実際の行動や振る舞いに発言とのギャップがあれば、信頼を獲得できないのと同じように、ブランドが広告でどんなに素晴らしく商品やサービスを語っても、それ以外のタッチポイントで、その約束が守られていない瞬間、生活者は落胆し、興味を失う。ブランドのロイヤリティを築く上で、ベースになるのはブランドと生活者の信頼関係であるが、ブランドと生活者がずっと一緒にいるB&Cの時代は、ブランドのパーソナリティが信頼関係構築の大きな要素になるのである。

ブランドパーソナリティを表現する2つの「VI」

 では、ブランドパーソナリティの表現とは具体的に何を指すのか?その答えが「VI」である。本稿の読者であれば、「VI」とは「ビジュアルアイデンティ」であり、文字通り、ブランドシンボルやブランドカラーなどの「視覚表現」を指すことはよくご存知だろう。しかし、それだけでは正解とは言い難い。ブランドパーソナリティの表現には、もう一つのVI、「ヴァーバルアイデンティ」が欠かせないからだ。ヴァーバル(Verbal)とはVerb(動詞)の形容詞形で、「言葉による」「言語の」を意味し、ヴァーバルアイデンティとは、ブランドの「言語表現」を意味する。

 人間のコミュニケーションに置き換えて考えてみると、イメージがつかみやすい。私たちが初対面の人からまず受ける印象は、洋服や身につける時計やネクタイ、アクセサリーなどの「ビジュアル」から生まれる。ブランドコミュニケーションに置き換えれば、これはブランドのシンボルマークやカラー、写真の使い方などの視覚表現である。

「日本ブランド」は<br />“口ベタ”を脱することができるか?<br />――B&C時代のヴァーバルコミュニケーション

 次に、人と人の関係は会話を通じて深まる。ブランドコミュニケーションであれば、どんなメッセージを、どんなトーンで語るか、という「ヴァーバル」な言語表現がこれにあたる。「話してみたら当初の印象と違った」ということは、プラスの意味でもマイナスの意味でも、よく経験することだが、人物の考えや信条を伝えるという点においては言語表現が視覚表現以上に影響力を持っているのは自明の理である。だからこそ、ブランドのパーソナリティを伝えていくことが重要なB&Cの時代においては、ヴァーバルアイデンティの役割がより大きなものになってくるのである。