2013年度決算で、すでに三度も業績を下方修正し、最終赤字に沈んだソニー。いったい、かつての輝きを取り戻すには、どれだけ待てばいいのか。この想いはソニーの黄金期を支えた役員であれば、なおさら強いものになるのだろう。今回、長年ソニーのCFOを勤め、副社長、副会長を歴任した後、ソニー銀行会長なども務めた伊庭保氏に、OBとして外から見た今のソニーについて、話を伺った。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 後藤直義、鈴木崇久、藤田章夫 構成/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

年寄りからいろいろ言われると
現役にとっては煙たいかもね(笑)

伊庭保氏 Photo by Naoyoshi Goto

 会社の経営というのは、当たり前のことだけれども、優れた経営者と優れた社員がいて、両方が噛み合って、っていうのがいちばんうまくいくのだと思うのだけれど……。そういう意味じゃ、平井社長は今年で3年目だし、ずっと期待をしているので、この3年目には結果を出してもらいたいと思っているのだ。

 平井社長の立場になってみれば、年寄りのOBからああだこうだと言われると、煙たいという感じがあるのかもしれない。実際に平井社長がどういうふうに考えているかわからないけど、OBとマネジメントとの間のコミュニケーションは今ないのです。

 平井社長が就任した年の10月か11月だったかな、一度、役員OBと現役の役員を集めて、平井社長の自己紹介も兼ねて、昼間に懇親会がありました。そこで、それぞれ、発言はあったわけですけれど、それぞれの人たちが日ごろ考えている信条というか信念というか、そういうものを話して終わった。特にテーマとしては目新しい議論はなかった。

 ただ、みんなの期待感とか、危機感というのが表れていたので、それがどの程度平井社長に伝わっているのかなと思っています。でも、優秀なスタッフもたくさんいるから、それなりのことはやってくれるだろうと期待していますよ。