4月23日に行われた規制改革会議後の記者会見で、会議側が提案している選択療養制度(仮称)をめぐって、こんな珍問答が交わされた。

記者「岡議長は、今の制度で救い切れない人がいるという認定をされているわけですね。それは誰なのですか」

岡議長「国民です」

記者「どの国民ですか」

岡議長「日本の国民でしょう」

記者「だから、誰ですか」

岡議長「それは一人一人確認しなければわかりませんね。でも、私は少なくとも周りにそういう形の患者を3人見ています」

 ………中略………

記者「それはわかりました。それはよくわかるのですが、制度を変えるということであれば、具体的なニーズがどこにあるのかをきちっと情報提供することはやはり必要なのではないですかということです」

岡議長「それはそうかもしれません。私はこの制度ができたらたくさんの方からよくやったと言われると期待していますよ。今御質問のどれぐらいのパーセンテージとか、どれぐらいの人がいるかということについては把握していません。それは事実ですから申し上げます」

(内閣府「第30回規制改革会議終了後記者会見録」より)

 記者からの質問に答えているのは、規制改革会議の議長で住友商事相談役の岡素之氏だが、それにしても素直な人だ。

 もしも選択療養制度(仮称)が実現したら、実質的な混合診療の全面解禁となり、一国の医療制度を根底から変える一大事だ。それなのに、制度を必要としている患者は「私の周りの3人」で、具体的なニーズがあるかどうかも把握していなかったことを、議長自らが暴露してしまったのだから。