世界120ヵ国以上のクライアントに、経営コンサルティング、テクノロジーサービス、アウトソーシングサービスを提供するアクセンチュア株式会社。グローバル企業であり、先進的なダイバーシティ企業である同社は、日本法人においても2006年から本格的にダイバーシティ推進の取り組みを進め、変革を起こしている。その仕掛け人である代表・程氏に、ダイバーシティについての考えを伺った。
企業は国を選ばない
多様性の受容が、成長企業を生む
アクセンチュア株式会社 代表取締役社長。1960年神奈川県生まれ。スタンフォード大学工学部卒業後、82年アクセンチュアに入社。91年コロンビア大学経営大学院でMBAを取得。95年パートナーに就任。2000年に戦略グループ統括パートナー、03年に通信・ハイテク本部統括本部長。05年9月に代表取締役となり、06年4月に代表取締役社長に就任。
南 ダイバーシティの必要性についてお伺いしたいのですが、社会の同質性が高く、そんなに多様性がない日本の社会に、ダイバーシティは必要なのかな、と思うことも正直あります。日本企業がダイバーシティを推進しないといけない理由は何だと思いますか。
程 ある日系企業の創業者から聞いた話が分かりやすいと思います。その人は「国は沈んでもうちは沈まない」と言っていたのですが、その会社は、外国人の採用や企業買収に積極的でした。たしかに企業は国を選ばないので、世界をフィールドにビジネスを展開し、世界中の人材を求めるのであれば、税金が安い・人材が多い・差別がない国や場所に企業は集まってくるでしょう。もちろん、日本だけでビジネスをやっていくのならダイバーシティは必要ないかもしれません。ただし、今後日本の労働人口は確実に減っていくとされているなか、国内だけで事業を拡大させるには限界があると思います。
南 なるほど。国内のリソースだけでは限界があるということですね。
程 それに、マーケットのグローバル化に加えて、顧客ニーズは多様化しており、ビジネスモデルの賞味期限が短くなっていることからも、組織や人材に多様性があることと、それを認め合うことは重要だと思います。このダイバーシティの第一歩が女性の活躍です。フォーチュン誌が発表する売上高上位500企業のうち70%以上が少なくとも1人の女性幹部を有していますし、業績面でも女性役員比率の高い企業の方が高い業績を上げていることがわかっています。