市場の注目材料だった6月5日のECB理事会。本稿執筆の6月4日時点で、市場は利下げ決定を見込む。今後デフレへの危険水域に入れば、欧州も量的緩和に踏み込む可能性がある。
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それは事実上の“追加緩和予告”だった。「次回(6月理事会で)、対応することに違和感はない(comfortable with acting next time)」。
金融市場の注目を集めた6月5日のECB(欧州中央銀行)理事会。金融政策の現状維持を決めた5月の記者会見でドラギ総裁がそんなコメントを発して以降、本稿執筆の6月4日時点まで対ドルでユーロ安基調が進んでおり、為替市場は完全に追加緩和を織り込むような動きを見せてきた。今回の理事会では市場コンセンサス通り、利下げを決定しているだろう。
ECBの元市場調節責任者(金融市場局長)、フランチェスコ・パパディア氏は5月20日付のブログで、今回の理事会で決定されるであろう追加緩和パッケージの中身について、表のような予想を披露していた。各アクションの実現確率についても触れてある。
パパディア氏の予想が当たっていれば、以上六つの項目のうち「最低でも二つ、最大で四つがパッケージ」されているはずだ。
確率的に言えば、(1)利下げに加え、主要国中銀としては初の(2)マイナス金利を導入している可能性が高い。これは、いわば銀行がECBに預けて眠っている当座預金にマイナス金利という“罰金”を科すことで、貸し出しに回させようという政策である。