ジンバブエから見たデンマークの意外な一面

「私の母はジンバブエ人で父がデンマーク人でした。デンマークで育ちましたが、1980年にイギリスからジンバブエが独立するとジンバブエに帰ってきたのです。両親が農場を購入しました。今のクフンダ・ビレッジのあるこの土地です。

 それからジンバブエに住んで、高校卒業時に大学入学のためデンマークにまた戻りました。2ヵ国に住んだことは価値のある経験でしたが、デンマーク人の狭い世界観を実感するようになり、大きな不満を持つようになったのです。

 デンマークでは経済開発の観点からアフリカに関しては解決すべき問題が山ほどある、ということばかり語られていて、アフリカの素晴らしい文化や伝統については一切知られていません。もしかしたら、これまで口頭で受け継がれているので、世界に発信する手段がなかったのかもしれませんが。

 デンマーク人の祖母は、裕福で教育を受けていましたが、本当の意味で幸せではありませんでした。一方でジンバブエの祖母は、おそらく貧困最低線以下と言われる生活をしていましたが、信じられないくらい素晴らしい人でした。強くて、快活で、何も彼女の道を閉ざすものがない。彼女の生活はとてもシンプルで、電気も水道もなかったけれど、別のレベルでとても豊かな生活をしていました」

 ジンバブエは、かつて「アフリカの穀物庫」と呼ばれるほどの農業国でしたが、2000年以降の土地改革に伴う混乱、経済政策の失敗などの理由で、経済は極度に混乱しました。失業率は極めて高く、2012年のWHOの調査によると平均寿命は男性は56歳、女性は60歳と言われています。

 そのような状況に置かれているジンバブエでもデンマークと行き来することで、別の幸福感があることに気付き、その魅力を多くの人に伝えたいという思いがマリアンさんにありました。そこで彼女は30歳を迎えたとき、世界中の友人をジンバブエに招きました。最終的に40人の友人が集まってくれたそうです。そのとき、マリアンさんの人生でターニングポイントと呼べる出来事がおきました。