

7月のリリース以後、すでに500近い作品が作成されているRomancer。作成したファイルは、そのまま専用サイトで一般に公開できるほか、非公開設定にして仲間内だけにURLを教えることも可能だ。
Wordだけでなく、PDFからEPUB3ファイルに変換できる機能もあるためか、作品一覧には漫画やビジュアルを多用したものが多い。専門性の高い技術書や学術書も目立つ。
「数年前と違い、大作家や人気作家も電子出版に興味を持たれる時代になりました」と話すのは、株式会社ボイジャーの高山みのり氏。
Romancerは、かなり高度なファイル作成機能を搭載しながらも、現在は無料で一般に開放されている。そこには、無名の作家が紙の本を出版できる機会がほぼ皆無に近くなっている出版業界の現状を踏まえ、出版を望む人を広く支援していきたいという思いがあるという。
「電子出版が何に適しているのか、どんな形が有効なのか、現時点では分からないことばかりです。ですから、とにかくトライすることしかない。トライするという点で電子出版は非常に手軽です。こうした“やりたいことをやってみる”機運の中から注目を受ける作品も出てくると感じています」(同氏)
このRomancerには特筆すべき点がもうひとつある。Amazon Kindle向けのファイルを作成する機能も実装されているのだ。Kindleへの入稿時には正規表現など厳格な技術仕様を要求されるが、それに対応したファイルも自動で生成してくれるのである。
実際、Romancerで電子書籍を作成し、KDPで販売したりオンデマンド印刷を行ったり、様々な方法で販売展開する筆者も少なくないという。