7月から8月にかけて非居住者の日本の中長期債買いが膨らんでいる。短期国債市場では欧州中央銀行(ECB)の利下げで、ユーロ圏の短期国債が軒並みマイナス利回りとなったことで、日本の国庫短期証券に買い圧力がかかったとされているが、中長期債についても同様の動きが生じているのだろうか。
金融緩和で、ユーロ圏の中長期債利回りが低下していることは事実だが、絶対利回りに注目すれば、ドイツやオランダ等の高格付け国の5年債で0.2%前後が確保されており、日本の5年債利回りを大きく下回ってはいない。相対的な比較で言えば、「急激かつ大幅に」低下したユーロ圏国債に比べ、低位安定の日本の国債が割安に見えることは確かだが、為替リスクを取ってまで、ドイツ国債より利回りが低い日本の国債を買うメリットがあるとは言い難い。
ここで注目したいのは、為替リスクヘッジ後の日本国債の利回りである。主要通貨同士の為替ヘッジコストは、その時々の金融市場の情勢によって大きく変動し、スペイン債務危機のような局面ではユーロ市場の参加者に外貨調達のプレミアムが課せられた。
日本の市場参加者は平時においてはドルを調達するのが最も難しく、また、ドルやユーロを長期にわたって調達する場合にプレミアムを要求される形となっている。