高齢者、若年者、女性、外国人…
雇用の創出が失敗する理由は何か

 高齢者雇用、若年者雇用、女性、外国人…。人材雇用のお題目はたくさんあるが、こうした雇用施策が、自社の競争力アップに貢献している会社は非常に少ない。

 改正高齢者雇用安定法が施行されて1年。60歳以降の雇用を希望する社員を最長65歳まで雇用継続する取り組みは、安定的に実施されているように見える。

 そして、企業は、高齢者雇用のコストを捻出するために、年功序列型から、成果主義に基づく賃金体系へ変更したり、高齢者のみならず広い年齢層で給与上昇カーブを下方修正したりするなどの見直しを実施しはじめている。しかし、コストを捻出することが本来の目的ではないはずだ。

 一方、多くの企業で、シニア層のだぶつきの問題が顕在化している。わが国の就業人口構成のいわば逆ピラミッド形を反映しているといえばそれまでだが、少数が多数をマネジメントするセオリーから鑑みれば真逆の状態だ。

「支配人」「補佐役」「統括部長」「部長」「部付部長」「部長補佐」「部長代理」など、企業はこぞって、職位名称を増発しているが、それで課題が解決するはずもない。本人にとっても会社にとっても、最適な処遇を実現していかなければならない。

 厚生労働省は、若年者の就業支援のための政策も打ち出している。企業からみれば、シニア層に比して圧倒的に少数である若年層の採用に躍起となっている。さらに労働力確保の目的もあいまって、女性や外国人など従来目を向けていなかった層の採用にも注力しはじめている。

 法制度や時代の流れに背中を押され、あらゆる年代の採用に手を伸ばしているわけだが、単に賃金体系を作り直したり、雇用数を確保すればよいという問題ではない。採用した社員それぞれに、適した役割を創出できるかどうか。つまり、人材資源の質と量を、ビジネスの現場のニーズにマッチングさせることができていない限り、社員のだぶつきは、いつまでも解決されることはないのだ。