キャリアチェンジの矛盾を解く「ハブ・キャリア」
キャリア設計を考えていくと、大きな壁にぶつかることがあります。それは、「志望職種の応募資格に該当する業務経験がない」というジレンマです。
一般的にネクストキャリアは、前職までの経験にかなり縛られます。経理職の採用では経理業務の経験者が求められ、人事職の採用では人事業務の経験者が求められるというように、通常、該当する業務の経験者が採用されるためです。そうなると、自分がやりたい仕事にキャリアチェンジするためには、「すでにその仕事の経験を持っている必要がある」という“矛盾”が生じます。このような現状から、一般的な転職手法のみでは、大きくキャリアを変えることはたいへん難しいのです。
この矛盾を解くために効果的なのが、「ハブ・キャリア」の活用です。ハブ・キャリアとは、さまざまな業界・職種から入ることが可能で、かつ、さまざまな業界・職種へ転出することが可能な仕事です。世界中のフライトの発着拠点となるハブ空港になぞらえて、私はハブ・キャリアと呼んでいます。
未経験で入社できて、次の転職では選択肢が増える
ハブ・キャリアの代表例は、「戦略コンサルタント」です。コンサル未経験でもポテンシャル採用で入社することが可能で、かつ、次の転職でも幅広い選択肢が生まれます。戦略コンサルタントは、さまざまなプロジェクトを通じて経営課題を解決する高い専門能力を習得します。そのため、外資戦略系コンサルティングファームや総合系コンサルティングファームの戦略コンサル経験者は幅広い業界で重宝され、大手事業会社や成長企業のみならず、投資銀行やファンドなどさまざまな分野に転身する機会があります。
ハブ・キャリアは、戦略コンサルタント以外にも、さまざまな業界・職種があります。時代によっても変化しますので、社会の変化を読み解くことや人材市場の動向を的確に把握することで、新しいハブ・キャリアを見つけることができるかもしれません。