パリショーで各社が指摘
「ヘリテージ」が意味することとは?
ワケあって、8~9月は欧州各地及びアメリカで、テレマティクス関連の“深堀り取材”を実施した。その後、パリに向かい2年に一度開催されるモーターショー(一般公開2014年10月4~19日、於Porte de Versailles)。さらに東南アジアに向かう途中、日本に立ち寄りCEATEC(7~11日、於幕張メッセ)を取材した。
こうしたなかで、日系企業再生に向けた新しい動きを感じた。そのキーワードは「Heritage(ヘリテージ、遺産・継承すべきもの)」だ。パリでは、こんな声を聞いた。
三菱自動車工業に今年4月に着任した、執行役員・デザイン本部長(元日系大手メーカー・デザイン部門幹部)はこう語る。
「新しいデザインの方向性を模索している。そのため、三菱自工だけでなく、(その前身である)三菱重工のヘリテージを身体全体で感じるとるため、長崎など各所を廻っているところだ」
英国系高級自動車メーカー・広報幹部(元日系大手メーカー・広報幹部)はこう語る。
「このメーカーに来て、ブランドの大切さを痛感している。ブランドがどのように育てられているのか、その現場を見るにつけ、その思いは大きくなる。英国には自動車産業のヘリテージがある」
また仏シトロエンの展示ブースには、1950年代に開発された「2CV」と「DS」が展示され、その後方パネルにはフランス語、英語、ロシア語、中国語等で「ヘリテージ」という大きな文字が並んでいた。
なぜいま、「ヘリテージ」なのか?
その理由は「自動車という商品のネタ枯れ」である。
端的に表現すれば、どこの国、どこのメーカーの商品も「どれも同じように見えて、大きな差がない」ということだ。