四中全会アジェンダは
史上初の「法治」に
北京が政治の季節を迎えている。
10月20~23日、中国共産党第18期中央委員会第4回全体会議(以下、通称である“四中全会”と記す)が開催されている。共産党にとっては、政権運営や改革アジェンダを討議するための重要な会議である。
「歴史的に見て、中央委員会全体会議(“三中全会”など含む;筆者注)は国家の方向性を決定づけるような審議を行い、国内外に向けて伝播する重大な機会だ。今回の四中全会も同様だ。核心的なアジェンダを議論する」
中国共産党体制内で政治思想・理論構築を担当するある担当官は、四中全会の歴史的意義をこのように捉えている。
同担当官が言及した核心的なアジェンダとは「依法治国」(法に依って国を治めること)、即ち、日本語で言う「法の支配」、英語で言う「the rule of law」に類似した何らかの法治主義の強化のことである。
四中全会開催前夜の中国国内世論を眺める限り、メディアは「中央全体会議の歴史のなかで、依法治国の問題を集中的に討議するのは初めてのことだ」という論調で会議のアジェンダを宣伝していた。
改革開放以降(改革開放が始まった時期・タイミングに関しては議論の余地がある。改革開放政策を実行していくうえで象徴的意味を持った第十一期中央委員会第三回全体会議が1978年12月に開催されたことから1978年を起点とする見方もあれば、実際に改革開放政策が鄧小平のリーダーシップの下、本格的に実行されたのは1980年代に入ってからであり、起点を1980年代以降に見出す見方もある)に行われた四中全会における核心的アジェンダを振り返ってみると、ほとんどが経済問題(以下“経済”)と党の建設(以下“党建”)に関わるものだったことが分かる。以下、列記してみよう。
1979年、第十一期四中全会:農村の発展(経済)
1985年、第十二期四中全会:第七回五カ年計画に関する提案(経済)
1994年、第十四期四中全会:党の建設(党建)
1999年、第十五期四中全会:国有企業改革(経済)
2004年、第十六期四中全会:党の執政能力(党建)
2009年、第十七期四中全会:新しい情勢下における党の建設(党建)
このように、過去における四中全会では、経済と党建がそれぞれ3回ずつ討議されている。この2つに加えて、中央全体会議の歴史上初めて「法治」が集中討議されるということで、党の宣伝部門やメディアはそこに歴史的意義を見出しているのだろう。