――なぜ遠近両用の多焦点レンズをつけると、違和感があるのでしょうか?

 遠近両用の多焦点レンズでは、遠方と近方の2焦点にピントが合わさるようになるため、たくさんの視覚情報が突然入ってくるようになり、不自然さを感じることがあります。また、遠方と近方のどちらかに脳でピントを合わせる必要があり、脳に負担がかかりやすいと言えます。

 また、人間の目は水晶体が膨らんだり縮んだりしてピントを合わせますが、多焦点レンズでは目の中の遠くと近くに2つの像を同時に見せるようにしており、脳でどちらかの像を選択します。また、目に入る入射光を2分しているので、暗闇にくると見えづらくなります。

「見る」とは、どういうことだと思いますか? 目で見ていると思いがちですが、結局のところ人間は頭で見ているんです。みなさん夢を見ますが、あれは目で見ていませんよね。また、誰かと話しているときに周辺が視界に入っていても、見ているとは言えません。要するに人間は見たいものだけ見て、他のものは頭のなかでキャンセルしているのです。

 私たちの脳が1秒間に視覚から得ている情報はコンピューターの単位でいうと約10億ビットだと言われているのですが、「認識できている」のは1秒間にわずか数万ビットだそうです。つまり、人間は目からたくさんの情報が入っても頭のなかで処理しきれません。実際、私が調べたところ、多焦点レンズを入れた方の脳波には異常が起きており、レンズを取れば良くなるというデータも出ています。

 ですから、そうしたリスクも理解したうえで、手術後はどんな見え方にしたいのか、自分の目指すライフスタイルと照らし合わせてよく検討することをお勧めします。