ある銀行で調査したときにすごくおもしろかったのは、ある部のメンバー全員が「私はこの部の中でわりを食っている」と答えたことだった。そんなはずはないが、本当に皆、そう思っていた。特殊なケースかもしれないが、外発的動機付けにはそのように限界があるものだと理解したほうがいい。

 だから、しっかりと永続的な動機付けをしていこうと思ったら、一人ひとりが内発的に動機付けられるようにしなければいけない。目の前の仕事の意義付けをして、その仕事によって自分は成長できるという実感を持って、楽しんで仕事をするという状態を作っていかないといけない。

 もちろん、それはなかなか難しい。外から手をふれられないから内発なのに、その内発を外から引っ張り出さなければいけないというのは、矛盾と言えば矛盾だ。

 しかし、それでもこちら側からの働きかけで、本人の考え方を変えたり、行動を変えたりすることはできる。そうしたやり方で、人間の内発的動機に刺激を与えていくというのも、リーダーにとって非常に大切な役割だと思っている。

プロ野球の二軍監督は
いかに選手を育て上げているか

 では、そうしたことに長けているリーダーは、どこに多いか。もちろん企業にもそうしたリーダーはたくさんいるわけだが、私はプロ野球の二軍監督に興味を持った。そこで、2年前になるが、プロ野球の二軍を題材にして調査・インタビューを行った。

 その結果は『二流を超一流に変える「心」の燃やし方 プロ野球二軍監督の人生再生メソッド』(フォレスト出版)として1冊にまとめた。

 二軍は、ファームと呼ばれる。農場だ。まだ日の目を見ない若手や、力の衰えたベテランが多数を占めている。そうしたファームを率いる二軍監督の選手育成方法や組織統率の手腕を分析すると、ビジネスパーソンにとっても有益なヒントがたくさんあった。

 そうした中から、ここでは一軍監督や選手自身のエピソードも交えて、いくつかユニーク、あるいは典型的と思える例を紹介してみたい。