まず、動機付け、あるいはリーダーシップのスタイルは、部下や、二軍の場合は選手の成熟度によって変えるべきだ、というセオリーについて解説したい。

 成熟度は2つの要素で構成される。能力とやる気(意欲)だ。図は、ケン・ブランチャードという学者が『リーダーシップ論』で表した、状況対応型リーダーシップのモデル図だ。

 この図に見るように部下の成熟度は能力の高い、低い、意欲の高い、低いで4つのタイプに分類される。

 新人の多くは、高校野球などではスター選手であったとしても、プロ野球のレベルで言えばまだまだ能力は低く、また意欲もそれほど高いとは言えない。ただ、最初からやる気だけは高い選手もいれば、能力はまだ追いつかないものの、意欲は高くなってくる選手もいる。

 意欲があれば努力=練習を継続できるが、それで能力は高くなってきても、そのままケアを怠ると、意欲は逆に低下していってしまうことも少なくないようだ。現状に満足してしまうのだ。

 それまで高校などで好きで野球を一生懸命にやってきたのに、プロに入って、二軍とはいえ契約金をもらい、通常のサラリーマンに比べれば多額の給料をもらい、ちやほやされる。それでいわば内発的動機であった野球に対する真摯な気持ちが減退してしまう。それで満足してしまう。これをアンダーマイニング効果と呼ぶが、それについては後述する。

 このような状況になってしまった選手をどうすくい上げるかも二軍監督の大事な使命だが、そこをうまく抜けることができれば、能力も意欲も高い状態になる可能性が芽生える。その状態に一人でも多くの選手を導くことが、二軍監督の最大の責務であるわけだ。

 そんなふうに、選手一人一人の状況に応じて、リーダーシップの発揮の仕方を変える必要があるという考え方が「状況対応リーダーシップ」といわれるものである。