日本ゼネラル・エレクトリック(GE)会長兼社長兼CEO 藤森義明
撮影:住友一俊

 過日の20ヵ国・地域首脳会合(金融サミット)では、2010年末までに総額5兆ドルの財政出動をすることで、世界経済の成長率を09年のマイナスから10年にはプラス2%に反転させる、と宣言された。嵐が過ぎ去ったときに、どの産業領域に投資がされているべきなのか。国のビジョンを描くのは政府であり、指導力ある政府と企業が連携し、ビジョンを具現化することに、景気回復の糸口がある。

 米GE本社のジェフ・イメルト会長は、オバマ政権の経済再生諮問会議メンバーを務めており、政策を投資・技術の両側面からサポートしていく。4月2日、GEが米インテルと在宅医療システム分野において提携したのも、そうした戦略に基づいており、環境エネルギー、医療を重点領域とする政策と方向性を合わせている。

 GEの日本における取り組みも同様だ。日本政府は、総額15兆円に上る追加景気刺激策をぶち上げた。バラマキとの批判はあるが、その金額の大きさで政府の本気度は推し量れるし、環境エネルギー分野を筆頭にして、政府と企業が連携できるような体制が整ったことは歓迎すべきことだ。

 08年通期決算では、金融事業の悪化が響き、純利益は前年比22%減の173億ドルとなった。70年ぶりの減配となったが、不振の金融事業でさえも利益を確保している。本社経営陣のあいだでは、「chin up(あご先を上げる=上を向く)」が合言葉になっていて、景気回復局面での“反発力”を蓄積しているところだ。(談)

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 浅島亮子)