経営 X 人事

年功序列のおじさん的社会が組織の活力を失わせる

日本で成果主義の
導入が失敗した理由

 もちろん日本の人事でも、従来の年功序列型の制度の問題に気づいて見直す動きはあり、1990年代には、成果主義を導入する企業が増えました。しかし、そうした取り組みの多くは失敗し、再び年功序列に戻したところも少なくありません。

 成果主義が失敗したのは、「勤続年数ではなく、その人の上げた成果で評価しよう」という考え方自体が間違っていたからではありません。問題は成果だけ、それもいくつかの要素だけを判断基準にし、その人を評価しようとしたところにあったのです。

 実際、成果に基づいた評価制度は、正しく運用すれば、組織の活性化につながります。そのいい例がGEです。GEは、日本では成果主義の代表のように思われていますが、決して成果だけを見ているわけではありません。評価の対象の半分は、リーダーシップバリュー(リーダーとしての行動規範)なのです。

 バリューの発揮――この人は、成果を上げるためにどのように仕事をしたのか、未来をどう見ているのか、どんな変革をドライブしているのかといった要素も評価の対象とすることで、正しい行動に基づいて成果を上げることが重要という考え方が共有されます。

 そして、そうした人たちが集まった組織は、業績と共に企業倫理も遵守する組織になるのです。

 日本企業が成果主義の導入に失敗したのは、こうした要素を考慮せずに、単に売り上げなどの成果だけを評価するものとして導入したためなのです。

 しかも、成果主義で失敗したからといって、もともと問題だと判断した年功的人事に戻ってしまったのでは、最高のパフォーマンスを出す戦略的人事にはなりえません。

経営 X 人事 特集TOPに戻る

 

八木洋介

1955年生まれ、京都大学卒業。1980年日本鋼管(NKK、現JFEスチール)に入社。人事などを歴任し、1999年から13年間はGEに勤務。複数のビジネスにおいて日本およびアジアの人事責任者を歴任。2012年4月より現職。著書に金井壽宏氏(神戸大学教授)との共著『戦略人事のビジョン 制度で縛るな、ストーリーを語れ』(光文社)がある。


勝つ組織をつくるための戦略人事塾

NKKやGEで人事の要職を歴任し、現在はLIXILグループで執行役および人事の責任者を担う八木洋介氏が、経営に資する「戦略部門としての人事」とは何かを解説する。

「勝つ組織をつくるための戦略人事塾」

⇒バックナンバー一覧