戦略人事の逆を行く現状

前回、経営に資する人事の役割とは、「人の活力を引き出すこと」だと言いました。しかし、残念ながら多くの日本企業の人事は、その正反対のことをしています。今回はそのお話をしましょう。

 人と組織の活力を失う、その最たるものが「年功序列」です。

 年功序列型の組織では、“おじさん的社会”が継続されており、協調性や横並びなどが横行しています。

 こうした組織では、本質的に正しいかどうかでものを判断するのではなく、過去にやってきたものの延長上で“価値観らしき”ものを形成して、それに照らして判断や発言をします。

 ですから、“リーダーシップが重要”などと言いながらも、新しい変化を先取りしようとする人が出てくると、「前例がない」とか「変わったことを言う」とか「協調性がない」などと言って、聞き入れようとしない。

 こうした“出る杭を打つ”あるいは、“異質なものを受け入れない”体質が、日本をガラパゴス化させてダメにし、失われた20年をつくったのです。

 リーダーシップの話になりましたが、本来リーダーシップとは、新しいことを提案して、みんなを引っ張って行くことなのです。最初に、誰も行かない方向を指して、「あっちだ、あっちに行こう」と言える人がいるからこそ、競争に勝っていけるわけです。 

 実際、周りをよく見てください。優れた日本企業は、協調性というより、人と違ったことをやっていく個性のある人が社長をやっているでしょう。

守り続けるべきものと
変えるべきもの

 そして、日本の人事は年功的なルールや仕組みを、ずっと守り続けてきている。「いやいやそんなことはない。年功序列はとっくの昔に無くした」とおっしゃる方も多いのですが、そういう会社でも、新しいアイデアを持った若い人より、経験を積んだシニアを使うという傾向は残っています。

 私はそういう経験重視の人事も含めて、年功的人事と考えています。

 私が最初に入社した会社の人事にいたときは、「人事は継続性だ、公平性だ」とよく言われました。
公平性は必要かもしれませんが、それが行き過ぎると、アサインメントにも処遇にも差をつけないということになってしまいます。

 継続性というのは、よく考えると、“過去を守る”ということです。

 過去には守っていいことと、変えるべきところがあります。今何が必要か、何を継続し、何を変革するのかを考えることが重要で、やみくもに継続してはいけません。

 ルールや制度は、過去を固定化するものです。したがって、なるべく簡素化すべきだというのが私の考えです。