本連載の第1回で、日本のマーケッターが情報源として頼りにしているアメリカ企業のマーケッターですら、そのほとんどがデジタルマーケティングの未来や今後に対して、「先が見えない」と思っているいうアンケート結果を紹介した。

 自分自身の行っている専門領域の先が見えないという状況は、何が要因で起きたことなのだろうか。まずは、そこから探ってみたい。

メディアはバズワードで記事を書き
ITベンダーはバズワードで集客する

 デジタルマーケティングに関係するバズワード、サービス名称を、日本で話題になりだした年度で整理すると、mixi(2006年~)、twitter(2011年~)、facebook(2011年~)、LINE(2011年~)、プライベートDMP(2012年~)、ビックデータ(2012年~)、動画広告(2012年~)、そして、iPhoneなどのスマホの出現による環境変化などがある。

「日経情報ストラテジー」で第1回「CIOオブ・ザ・イヤー」を受けた木内里美氏が、「IT Leaders」で連載中のコラム「木内里美の是正勧告」で、2008年末から現在まで(約6年間)のIT部門を中心とした改革・改善案を連載している。そこからバズワードらしきものを抜粋してみると、マスターデータ、クラウド、BI、iPhone/iPad、IFRS、BYOD、BPM/BRM、オープンソース、ビックデータ、IT資産管理と続く。例えば、「Bには気をつけよ!」にもあるように、バズワードは不易なビジネス(経営)の側面から捉えるべきで、流行に流されていはいけないという論調で語られている。

 デジタルマーケティング業界のバズワードと、IT部門を中心とした既存のIT業界のバズワードを比較してみると、趣が随分と違うことがわかる。

 メディアはバズワードで記事を書き、ベンダーはバズワードで広告を行い、カンファレンスはバズワードで集客される。提供する側はバズワードでマーケットを煽るのが仕事でもあり、それによってお金が循環している。

 結果、煽られたデジタルマーケッターは、新しく出現するバズワードを追いかけ、自分の仕事の数年先が分からなくなる。