下落を続けるコメ相場は、今年に入り一気に1割以上も値を下げた。現在のコメ相場に農家は悲鳴を上げている。だが、暴落の引き金をひいたのは、農協だったことから事情は複雑だ。コメ暴落の背後に見え隠れする関係筋の思惑を探った。
今年9月末、コメ農家にかつてない衝撃が走った。米穀データバンクの調べによれば、ブランド米の代表的銘柄ともいえる新潟県産コシヒカリの一等米が60キログラムで1万5000円(外税・玄米)を割り込んだのだ。
昨年の自由米市場における新潟県産コシヒカリの価格は約1万7000円。わずか一年で2000円も下落した計算になる。「こんな値段では大赤字でコメなんか作っていられない。死ねと言われているようなもんだ」とコメ農家は下げ止まる気配のない相場に悲鳴を上げる。
新潟県産コシヒカリの暴落は、富山、福島、長野など近県のコシヒカリに飛び火している。茨城県や栃木県などのいわゆる「関東コシヒカリ」も前年の1万4000円前後から約1500円も下落した。すさまじいコメ暴落のドミノ倒しだ。
コメ相場下落の構造的原因は、需給関係の悪化である。コメの作付け過剰により、今年も全生産量の約3%、23万トンが余剰となる見込みだ。
ただし、コメ余りは今年が初めてのことではないし、もっと余剰が多かった年でも、これほどの相場下落はなかった。国産米は実質800%近い関税に守られており、国際市況にも直接の影響は受けない。
では、なぜコメは突然暴落したのか。