通常、検索はウェブ全体を対象にして行なうが、考えてみればこれは非効率な方法である。たとえば、経済関係のデータを探している場合、それが、オンラインショップや美術館のサイトにあるはずはない。だから、関係のないところは探さず、情報がありそうなサイトを選んで、その内部を捜索するほうが効率的だ。

 「餅を買うのであれば、魚屋や八百屋に行っても無駄だ。餅は餅屋で買うほうがよい」というのは、誰でも知っている生活の知恵だ。しかし、検索エンジンが手軽に使えるようになったために、インターネットの検索ではこれを忘れてしまうことが多いのである。情報収集においても、生活の知恵の原点に立ち戻ることにしよう。

 以下で述べるのは、「組織を限定してその中を検索する」という方法だ。たとえば、日本の文学作品のなかで「親鸞」について書いてあるものを探したいとする。この場合、電子図書館である「青空文庫」を探すことが考えられる。これを実行するには、つぎの2つの方法がある。

(1)グーグルの「検索オプション」で、キーワードに「親鸞」を入れたうえで、「ドメイン」の「検索の対象にする サイトまたはドメイン」を指定する。この場合には、 www.aozora.gr.jp と入力する。

(2)青空文庫を開いて、トップページにある検索ウィンドウに検索語「親鸞」を入力する。

 どちらの方法でも、青空文庫に収録された日本文学の作品の中にある「親鸞」という言葉を検索することになる。

新聞社、大学、図書館

 この方法を用いるには、いうまでもなく、「どのサイトを選ぶか」が重要なポイントだ。

 まず考えられるのは新聞社のサイトだ。「ニューヨークタイムズ」は、2007年9月から過去の新聞記事の検索と閲覧を無料化した。これは情報収集上の大変大きなできごとだ(これについては、『週刊ダイヤモンド』の「超整理日誌」でも近く触れるが、この連載でも、別の回で詳しく述べる)。しかし、残念なことに、日本の新聞では、過去記事の無料閲覧はできない。

 経済関係の統計データについては、この連載ですでにある程度述べた。日本での金融関連の情報なら、日本銀行がよい。政府が経済関係の情報について「餅屋」の役割を果たしてくれないのが、たいへん問題だ。