意識して育てても、
これぞと育つ人は2割

 しかし、これだけ本気で社長の育成に取り組んでも、本当に社長が育つかどうかはわかりません。

「社長を育てることに力を入れ過ぎたら、会社中が社長候補だらけになり、“船頭多くして船山に登る”という状態にならないか」と聞かれることがあります。

 しかし、その心配はいりません。

 かつて私が在籍したGEは、世界で一番リーダーを育てる会社だと言われています。リーダーを育てるために、さまざまな取り組みを行っており、年間の教育予算は1000億円にもなります。しかし、それだけかけて取り組んでもなかなかこれぞという人は出てこない。

 私の経験値では、リーダーとして育成して、理想のリーダーに育つのは2割ほどです。

 GEが世界中で実施した調査によれば、リーダー育成で育つリーダーは、育成対象者の20~25%だという結果もあります。そのくらい、リーダーを育てることは難しい。だからこそ、本気で取り組まなければならないのです。

リーダーがいれば
日本は勝てる

 ではなぜ、そうまでして社長を育てることが重要なのでしょうか。それは、グローバルな競争の中で“勝つ”ために、どうしても必要なことだからです。

 日本人というのは基本的に、やるべきことはしっかりやるという真面目で正しいことが好きな人たちです。こうした気質は、フォロワーとしては最高ですが、一方でリーダーには向きません。日本は質の高いフォロワーが多い分、リーダー向きの人材は不足しているのです。

 ですからもし強いリーダーを育てられれば、優秀なフォロワーは大勢いるのですから、強いリーダーのもと、フォロワーが一丸となって戦うことで、日本企業はグローバルな競争に勝っていけるはずです。

 そのために、優れたリーダー、社長候補を育てることがとても重要なのです。