社員のニーズを満たさなかったり、甘やかしたりする制度では意味がない。だからこそ十分なヒヤリングは欠かせない。サイボウズでは制度の1つに、「選択型人事制度」を設けた。仕事を重視する人、仕事とプライベートを両立させたい人など、各々のライフスタイルの変化に合わせ、働き方を選択できる形にしたのだ。

 たとえば、先述の高橋君のような若者が「趣味の音楽活動をもっとしたい」と考えた際に、ある程度弾力のある制度が会社にあり、それを許容する社風があれば、彼は働きながら趣味の時間を増やすことができるかもしれない。年功序列のような制度を維持するのが難しい現状で、報酬面ではなくこのような取り組みで社員をつなぎ止める施策を、もっと進める必要があるのではないか。

 また日産自動車は、2011年に入社した新入社員122人が3年後の2014年に1人も辞めていないという、「3年後離職率0%の会社」と言われている(会社四季報より)。理由として複数の要因が考えられるが、1つには「オープンエントリー制度」「シフトキャリア制度」のような、社員の希望に合わせてキャリア形成を行っていく制度が充実していることが挙げられるだろう。

若手社員のアイディアを8割採用、
週に1度15時に社員を帰らせる企業も

 大手企業でも、このように若者を辞めさせないための施策がある一方、中小企業ではさらにドラスティックな施策を試みている会社が多い。

 リクルートの就活支援サイト「リクナビNEXT」では現在、“職場を盛り上げるための取り組みを発掘する”目的で、「グッド・アクション2014」という取り組みを行っている。これは、企業が行っている社員の福利厚生に関するよい取り組みを表彰し広げていこうという取り組みだ。この記事を執筆している現在は選考中だが、先ほど紹介したサイボウズも候補としてノミネートしている。他にエントリーされた企業の取り組みをいくつか紹介したい。

 EDI、物流、ウェブソリューションなどを行うユーザックシステムでは、一時期若手社員の離職率が高まったことから、若手社員が社内の仕組みを議論し、経営トップに提言できるという制度をつくった。しかも、提言されたアイディアの約8割が採用されているという。こちらはいかにも、若手社員を独立させないための策と言えそうだ。

 女性活用を目指すための取り組みも、広がっている。たとえば滋賀県で住宅リフォームを行う有限会社桃栗柿屋では、週に1度15時に会社を退勤する施策を行っている。目的は、社員の家族団らんの時間を増やすためだ。これは、社員から出てきたアイディアを会社が採用した制度だ。共働き世帯の増加を受けて、仕事と家庭の両立のために企業側から歩み寄る事例が増えていると言えそうだ。