こっそり行うものだった「シニア婚活」も、今や市民権を得つつある。ダイヤモンドQ編集部が、実際に婚活パーティに潜入して、実態を探ってきた。
「さあ、お時間が来ました。女性の方々はそのままで、男性陣は時計回りに席を移動してください」 ここは、都心にあるホテルのバンケットルーム。各テーブルには、男女3人ずつが交互に腰を掛けている。この男性3人が皿とグラスを手に席を立ち、5分おきに隣の席に移動していく。まるで回転ずしだ。回転ずしタイムが終わると、次は自由に話せるフリータイムに突入する。
高齢化社会におけるシンボリックな現象として、昨今、マスコミで取り上げられるようになってきた「シニア婚活」。その現場の一つである、婚活パーティに記者が覆面取材を試みた。参加資格は男性60歳以上、女性50歳以上。男女共に独身であること。十人十色の人が集まっていた。
コンサルタント風のきちっとした身なりで、かくしゃくとした70歳ぐらいの男性は、「体を鍛えている」と、自分の二の腕の筋肉を女性に無理やり触らせて、悦に入っている。 かと思えば、紺のジャケットを着たIVYルックの60歳前後の男性。髪の毛もきっちりと分けて魅力的だ。話を聞くのも上手で、女性にモテそう。実際、女性と意気投合し、「この後、カラオケに行きましょう」と約束を取り付けていた。
水色のワンピースに赤いネッカチーフの女性はシニアと呼ぶのがはばかられる若々しさで積極的に男性に声を掛ける。ただし、派手な女性はシニア婚活では「金食い虫」とみられ、意外と男性の人気は低い。
このパーティは全員が初参加。しかし、緊張することもなく、時には大声で笑いながら楽しんでいる人が多い。全員が一人参加で友人がいないのに、旧知の仲の人々が集まった同窓会さながらの盛り上がりだ。
シニア婚活が注目を集めている。 実際、結婚相談所大手の「ツヴァイ」では全会員に占めるシニア比率が高まっており、男性会員の50歳以上の比率が19・2%を占めている。「男性は50歳、女性は40歳手前が、子どもを持つ最後のチャンスだと思っています。しかし、それを越えると、男女とも、共に生きていくための人生のパートナーを求めるようになります。ルックスよりも、弱音を吐ける相手であるかが重要です」と話すのは、コンサルタントの西口敦氏である。
ツヴァイ秘書広報部の才村圭子氏は、「シニアの男性は、寂しい独り暮らしよりもパートナーと心の通い合った老後を求めて、入会する人が目立ちます。健康も大きな関心事で、病になったときにも助け合える関係が理想です。一方、シニアの女性は精神的な安定だけでなく、経済的な安定を求める傾向があります」と説明する。
ちなみに、ある結婚相談所幹部によれば、「男性は、幾つになっても体の関係を求めたがる人が7割くらいいる。一方の女性は7割が体の関係は求めたがらない」というミスマッチがあり、うまくいかないケースがある。