11月14日、西武グループ・プリンスホテルのアウトレットモール、“軽井沢・プリンスショッピングプラザ”がスケールアップしてオープンする。新しいエリア“ニューイースト”には、「昔はこんなことはあり得なかった」と、このプラザのブランド・リーシングを行なう西武商事専務取締役・藤田氏が語るほど、錚々たるブランドが立ち並ぶ。
ブルガリやクロエ、ゼニア、バーニーズ ニューヨークなどが新たに入る他、ベル、ノルムアウトレット、レオナールが日本で初めて出店する。また、「ニューウエスト」からLVMHグループのブランドを扱うメレーズ、アルマーニ、フェラガモなどが移店。全部で21のブランドとセレクトショップで構成され、軽井沢駅前、施設のセンターという場所で、まさにショッピングプラザの顔となる。
今回で6回目の増床になる。ここまでの道のりは平坦ではなかった。プラザができたのは、遡ること13年前、1995年のこと。避暑地として夏に一極集中していた軽井沢に、オールシーズン観光客を誘致するための策としてオープンしたのが始まりだ。この時は、リビング用品や軽井沢みやげの店が並ぶ普通のショッピングプラザ。ハイエンド・ブランドが出店するような施設ではなかった。
その後、2000年にアウトレットブームが到来。不景気が長く続き、消費者の中に、「良いものを安く買う」という意識が芽生えたためだ。1995年に60万人だった年間来場客数は850万人(2007年)にまで右肩上がりに増え、売上も12億円から315億円に増えた。
とはいえ、「アウトレット=安売り」は、ブランドの対極にある概念だ。ブームだけでは老舗ハイエンド・ブランドは誘致できない。
軽井沢という土地のブランドと、都心から100キロメートルの距離感が、ブランドイメージが失墜するのではないかという不安感と、定価販売のプロパー店とのカニバリゼーションの危機感を和らげた。こうして軽井沢・プリンスショッピングプラザは、ブランドが無視できない存在にまで駆け上がった。
しかし、課題も残されている。もはやアウトレットが珍しいものではなくなっていることだ。ハイエンド・ブランドはブランド価値を高めるため、大量出店を望まない。当然、ブランドの争奪戦は避けられないことになる。今年4月には、東京と軽井沢の中間地にある入間に、三井不動産の“三井アウトレットパーク”がオープンした。激化する競争環境の中、客だけでなく、ブランド側にも選ばれる施設作りができるかどうか。それが今後の勝敗の分かれ道になる。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 新井美江子)