既婚女性が生む子どもの数は
実は1970年代から減っていない

 最後に、出生率(合計特殊出生率)の低下にも触れておきます。合計特殊出生率とは、いわば1人の女性が一生の間に産む子どもの数であって、2.07が人口を維持できる水準とされていますが、日本では2013年時点で1.4台となっています。これについて世間では、「女性が子どもを生まなくなったせいだ」とよく言われますが、その考え方は正しくありません。

 というのも、既婚女性(有配偶者女性)だけに限った出生率は足もとで2.0台で、1970年代から変わっていないからです。既婚女性は生涯に平均2人の子どもを産んでいる計算になり、中長期的に見てあまり変化がないどころか、むしろ微増傾向にあります。

 なのに、なぜ女性全体の出生率が下がるのか。それは、女性が子どもを産まなくなったわけでも、家庭の子育てが大変になったからでもありません。結婚をしない女性や、「子どもを持たない」と決めた女性が増えていることが原因です。実際、2010年の国勢調査でわかった女性の生涯未婚率(49歳を越えて未婚の女性が対象)は10.61.%に上っており、私の試算では、2040年にこの比率は30%近くにまで達する見込みです。

 日本政府は女性全体の合計特殊出生率を2.07まで上げることを目標としていますが、仮に私の試算通りに「2040年には3割の女性が未婚」という予測が現実となれば、残り7割の女性が1人平均で3人程度の子どもを生まなくてはならなくなります。これは非現実的な目標です。

 既婚女性の出生率が40年間2.0台を続けて来たということは、彼らが考える「家庭」におけるちょうどよい子どもの数のバランスが、2人だったということです。それを無理に3人に増やそうと思えば、夫婦は人生の価値観を大きく変えねばならないでしょう。

 ここまで説明してきたように、一口に「人口減少」と言っても、高齢化や少子化といった現象が複雑に絡み合って起きていること、そしてそれらを食い止めることが大変難しいことがわかると思います。もはやここまで来ると、日本人はこれから、人口減少社会を前提に考えて生きて行かなくてはならない。人口が減っても、子どもが減っても、引続き安心して豊かに暮らせる社会をつくっていくほうに、目を向けるべきなのです。

 人口減少社会で起きるリスクとその対策については、稿を改めて述べたいと思います。

>>続編『未曽有の人口減少がもたらす経済、年金、財政、インフラの「Xデー」(上)』はこちらです。

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