Q.一部の雑誌などは従来型の紙版をやめて、デジタル版への移行が進んでいます。その一方で紙版のマンガをスマートフォンなので読むことができるアプリが好調ですが、堀江さんは今後、雑誌媒体はどのように変化していくとお考えですか。

マンガをスマホで読むのではなく
スマホで読むためのマンガをつくることが必要

A.マンガアプリが好調なのは、スマホやタブレット端末などの画面の大型化によって、紙に印刷されたマンガでもスクロールしながらそれほど違和感なく読めるためでしょう。

 しかし、裏を返せば、そもそも雑誌のレイアウト自体が、スマホ時代の表示に合わなくなっているということです。

 例えば、マンガアプリで人気ナンバー1のcomico(コミコ)は、各コマが縦方向だけの配列、縦方向へのスクロール型でつくられています。つまり、縦横が入り組んだ従来型の雑誌マンガのレイアウトを捨てています。

 こう考えると、今後はコンテンツ自体をスマホ時代に合わせたものに作り変えていく必要があると思います。

 現在は、雑誌も書籍も紙媒体で読むことを前提として作られているので、それをスマホの画面で読もうとすると、圧倒的に読みにくい。加えて、書籍を一冊丸ごとスマホで読むのは、いかにも長すぎます。

 そうではなく、例えばちょっとした待ち時間など隙間で、サクッと読めるコンテンツがスマホには必要なのです。

 そういう意味では、雑誌の単なるデジタル化は無意味だと思いますし、現在の電子書籍のあり方も方向違いです。

 今後はスマートフォンやタブレットに最適化した形でのコンテンツの制作が飛躍的に増えてくる。そして、プロの編集者やデザイナーが誌面を作っていた従来的なやり方も変化せざるを得ないでしょう。