前回は、妊娠や出産に関する社会保障、国や自治体の助成金を紹介した。今回は、その続編。子どもが生まれてから育児をしている間に「もらえるお金」を確認してみよう。
国は、少子化に歯止めがかからない現状を「社会経済の根幹を揺るがす危機的状況」と捉え、子育てしやすい環境整備を急いでいる。
3月20日に閣議決定された「少子化社会対策大綱」では、妻の出産後の男性の休暇取得率を80%にするなど具体的な数値目標が示され、男性の育児参加を促す内容が目についた。ここ数年、男性が子育てに参加しやすくなるような社会保障制度改革も行われており、そのひとつが育児休業制度の見直しだ。
社会保険料も免除で
実質給付額は給料の8割
●育児休業給付…日給の67%、または50%
【給付内容】
子育てで仕事を休んでいる会社員や公務員の所得補償を目的としたもので、原則的に子どもが1歳になるまでの間に育児休業を取得すると、雇用保険から日給の67%または50%の給付金が支払われる。
【ポイント】
・給付を受けられるのは、原則的に子どもが1歳になるまでの期間だが、保育所に入れないなど特別な事情のある場合は1歳6ヵ月まで延長可能。
・「パパ・ママ育休プラス」という制度を利用して、両親ともに育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2ヵ月まで育休期間を延長できる。
・女性(出産した本人)は、出産日の翌日から8週間は健康保険から出産手当金が給付されるので、その間は育児休業給付金は支給されず、産休終了後に育休に移行する。配偶者である男性は、妻の出産日当日から育休を取得できる。
育児休業給付金は、会社員や公務員が育児で仕事を休んだ場合の経済的な補てんをすることを目的に1995年4月に作られた。子どもが生まれると誰でも利用できて、性別による利用制限は設けられていない。