離婚の話が始まれば、夫婦が同居を続けることは精神的に難しいので、引越し費用が足りないなど、よほどお金に困っていない限り別居を始めるのが普通です。

 もちろん、別居の理由が「離婚前提」というケースばかりではなく、やり直すための冷却期間だったり、妻子が家出をし、夫が残されたりする場合もあります。いずれのケースでも知っておきたいのは、離婚前の別居のタイミングであっても、やはり母親が子どもを連れて行くケースが圧倒的に多いということです。

 本来なら、親権を決める場面と同じく、「別居中、父親と母親、どちらが子どもを引き取るのにふさわしいのか」を決めるべきでしょう。しかし、何の疑いもなく母親は子どもを連れて行くし、父親も必要以上に文句を言わないのです。とはいえ、一度別居が始まると、父親が子どもを連れ戻すことは相当に難しいです。もちろん、母親は反対しますし、無理矢理子どもの手を引いて連れ去ろうものなら、警察を呼ばれる危険すらあります。

 このように離婚の話を始める段階で、すでに夫婦は別居し、子どもは母親の手元にいることが多いのですが、やはり離婚に伴い、子どもの住居環境、学校、人間関係を変えない方が良いので、なし崩し的に離婚後も母親が引き続き子どもを引き取ることになります。離婚する前に別居を始めることが多いという事事情も、「親権は母親が圧倒的に有利」という数字の背景にあるのです。

やはり親権では夫が圧倒的に不利
父親が子どもと暮らすためには?

 ここまで見てきたように、親権を決める場面では父親が圧倒的に不利と言えます。これでは、父親がどんなに悪あがきをしても親権獲得は期待できそうにありませんが、本当にそうなのでしょうか。前述の統計によると、父親が親権を持つ確率はゼロではなく、全体の2割程度はあります。望みが全くないわけではありません。

 現在離婚の交渉をしている人、離婚を考えている人が本当に知りたいのは、父親が子どもを引き取ることに成功した「2割」なのではないでしょうか。次に、その成功例を具体的に見て行きましょう。

 私が離婚相談の場で見てきたなかで、母親が親権を諦め、父親が親権を持つことになったケースがあります。

 相談者は田中亮さん(仮名・36歳・会社員)という方です。妻の香織さん(仮名・34歳・会社員)、娘の結愛ちゃん(仮名・4歳・保育園児)との3人家族でした。