嵩が50分で描いた漫画が掲載!「くじら創刊号」即完売→戦後の雑誌“2円”って今の価値でいくら?【あんぱん第73回レビュー】『あんぱん』第73回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第73回(2025年7月9日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

困ったときのメガネくん
嵩がピンチを救う!

 校了目前に原稿が落ちた。編集経験者にはこの恐怖がよくわかるだろう。

「困ったときのメガネくん」。穴埋めに嵩(北村匠海)がわずか50分で漫画を描くことになった。兵隊に入ってから一度も漫画を描いていなかった嵩だが、無事間に合った。

 昭和21年(1946年)7月、「月刊くじら」創刊。一冊2円。御免与町では朝田家が3冊も買って、くら(浅田美代子)は「月刊のぶ」と言って大喜び。

 昭和21年の2円の価値はどれくらいだろう。週刊朝日編『戦後値段史年表』によると、週刊朝日が1円〜1円50銭とあるので「くじら」はちょっとお高い。

 鶏卵が15円20銭(東京における平均小売価格)。小麦粉21円(東京での家庭用小麦粉10kgあたり)。ラムネが1円55銭。日雇労働者の1日の賃金が7円50銭と思うと、やっぱり2円は高価であろう。3冊買ったら1日の賃金がほぼ消えてしまう。

 嵩、渾身の四コマ漫画「ミス高知」は、かつて嵩が入選した漫画のアップデート版のようで、元気な女の子が元気にジャンプして、その結果は……というもの。モデルはたぶん、のぶである。でも髪型は琴子(鳴海唯)に似ている。