求められる語学力は、派遣先の国や求められる専門技能によって異なる。選考にパスすれば35日程度、語学などの合宿研修を受けた後、現地に派遣される。「訓練所での研修だけで、言葉が完璧になるわけではないが、現地に行ってから語学力を伸ばす人も多い」(JICA青年海外協力隊事務局)。

 シニア海外ボランティアは赴任地での生活費・住居費のほか、派遣中は月5万5000円の国内手当ても支給される(ただし、無職または無給で65才未満の場合)ので、生活費の心配をせずにボランティアに打ち込むことができる。

 シニア海外ボランティア経験者には異色の人材もいる。

後藤裕三さんはバヌアツの調理師学校で教える傍ら、「現地の人が稼げるように」食品加工やレストラン経営なども指導した

 名古屋市出身の後藤裕三さん(65才)は、高校卒業後、レストランやホテルで調理人として働いた後、本場フランスのレストランで修業、駐スイス日本大使公邸の調理人を経て、名古屋に戻ってレストランを開業。子供が社会人として巣立ったのを機に、今度はチェコのプラハで日本料理店を経営、60才を過ぎてシニア海外ボランティアとして南太平洋の小国、バヌアツに渡り、調理師学校の指導員となった。まさに世界を股に掛ける活躍ぶりである。

 フランスでの修業時代に地元大学生に教わってフランス語を身に付け、チェコでは英語に堪能な人が多いので、日本から教材を取り寄せて独学で英語を学んだ。「間違えても恥ずかしがらずにしゃべる」のが、後藤さんの語学習得法。「間違いは相手が指摘してくれる。そうしているうちに、少ない単語でいろいろと表現することを覚える」。

 昨年9月にバヌアツ赴任を終えた後藤さんは今年4月、イタリア・フィレンツェへと旅立った。日本人経営者が買い取ったレストランの経営を頼まれたのだ。

「何才になっても新しいことを始められる。それを自分自身の生き方で示したい」と語る後藤さん。日本の有機食材を使ったまったく新しいレストランとして再スタートを切るつもりだ。

 『ダイヤモンドQ7月号』(6月2日発売)では、JICAのシニア海外ボランティアで活躍するために必要な英語レベルについての解説や、英語力を伸ばすための方法について特集を組んでいます。