東京電力社長 清水正孝
撮影:K.Yoshida

 9月に電気料金の原価を洗い直す「本格改定」を実施する。燃料となる原油などの価格高が現在のレベルで続くようであれば、来年1月から大幅な値上げをお願いすることになる。

 本来なら値上げは避けたいところ。だが地震で運転を停止中の柏崎刈羽原子力発電所の再開のメドが立っておらず、代替燃料の調達費用が大幅に増加しているだけでなく、原油価格も予想以上に高騰した。自助努力ではいかんともしがたいレベルになっており、安定供給のためにも改定を実施する。

 ただ、われわれは顧客だけに負担を強いるつもりはない。10~12月については燃料価格上昇を転嫁せず、われわれがコストをかぶることで顧客負担を軽減する。

 とはいえ、2007年度は1501億円の最終赤字に陥っている。早期に収益の均衡を図るためにもコストダウンは必須だ。昨年度は計画を200億円上回る1000億円のコストダウンを実施しており、今年度はさらに1000億円以上の削減を目指す。

 私は資材担当としてコストダウンを実施してきた。かつては規制業種でありコスト管理が甘い面があったが、過剰スペックの見直しや、資材の一括発注によりコスト削減を推進した。単に業者をたたくと不良工事の原因になるので、強引なやり方はすべきでない。

 これからも業務のやり方を一から見直したり、早期・一括発注を進めたりするなど工夫の余地は大いにある。むしろ今こそが企業体質を強化する好機ととらえて積極的に取り組みたい。

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 藤田章夫)