日本精工社長  朝香聖一 弊社は2007年度まで売上高、営業利益共に、四期連続で過去最高を更新してきた。

 今年度も更新して五期連続としたいところだが、増収はともかく、増益を確保できるか否かは、正直いって微妙なところだ。2~4割にも上る鋼材価格の高騰という予想外のコストアップ要因があり、価格転嫁などのコスト対抗策が寄与するまで、時間差が生じてしまうためだ。

 主力製品は、ボールベアリングなどの軸受だ。事業は「産業機械軸受」「自動車関連製品」「精機製品」の3分野に大別できるが、今後、心配なのが、やはり自動車分野。

 今年の北米市場の販売台数は、1400万台を切るか切らないか、ということが話題に上るが、われわれ部品メーカーの立場で見ると、1300万台前半となる可能性が高い。グローバルでも今年は7000万台規模という見方が多いが、6700万台程度にまで落ち込むと見られる。

 かつて自動車は最も安定感のある産業だったが、いまや1ヵ月ごとに状況が悪化しつつある。わが社は幸いにも北米依存率が1割前後と低く、北米自動車市場の低迷は大きな痛手にはなっていないが、自動車関連製品は売上高全体の6割近くを占めるため、今後の状況が非常に気になるところだ。

 現在のところ、次期中期経営計画(09~11年度)を策定中だ。もともと営業利益率の高い産業機械軸受(今期で14~15%程度)を17~8%まで引き上げ、自動車関連分野を補完しつつ、11年度には売上高1兆円、営業利益率10%以上を目指したい。(談)

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 山本猛嗣)