「談話には反省とお詫びが入るのでしょうか」。
14日夕方に安倍談話が発表される前、中国人の友人はこう筆者に尋ねた。現在中国の国際地位が向上し、周辺諸国との関係でも中国抜きには考えられないため、日本の国益を考え、恐らく入るのではないかと筆者は答えた。また別の友人は、「直接にお詫びという言葉を使わずにお詫びの気持ちを表明するのではないか」と見ていた。
中国人はなぜ安倍談話に注目したのか。中国には歴史問題という譲れない原則問題があり、それによって日中関係が影響を受けることを憂慮しているからだ。
前にも述べたように、中国の原則問題は歴史問題のほかに、領土問題もある。中国はこれを外交上の「底線(最低ライン)」としており、それを越えた者に対しては果敢に批判を加え、ひいては関係が冷却化する。もし村山談話から後退する談話が発表されたら、中国としては「日本は底線を越えた」として批判し、相応の措置をとるしかなく、それによって両国関係がまた停滞することを憂慮した。
また、中国の安倍首相への警戒感もある。現在の中国の安倍首相の評価は、第一次政権のときの小泉時代に停滞した日中関係を打開した政治家ではなく、「戦争のできる国」をつくろうとしている軍国主義者というものだ。
中国の一般の人も中国メディアの報道の影響を受け、安倍政権の安保法案は「日本を戦争のできる国にする法案」という認識だ。この政権によって日本は歴史に逆行する動きをみせるのではないかと中国は警戒している。
中国には「ヘビに咬まれた者は、縄を見てもヘビだと思ってしまう」という言葉があるが、侵略された側としては、現在の日本の動きは軍国主義時代に向かうと映るのだろう。それゆえ、中国は安倍政権を警戒し、その政権が発表する談話は日本の歴史観を説明する格好の判断材料となるため、安倍談話に注目したのである。
「頭をちょこっと下げただけ」
と安倍総理の謝罪を批判
安倍談話は筆者のみるところ、国内の様々な声や諸外国との関係を考え合わせたうえでバランスをとり、言葉の使い方にも気を遣った印象だが、中国は談話についてあまり積極的な反応を示しているとは言い難い。
談話発表後、中国メディアも談話について伝えた。例えば、14日午後6時の新華社報道は、「反省」と「お詫び」が盛り込まれていることを伝えたが、これからの世代に「謝罪し続ける使命を背負わせてはいけない」という言葉が入っていることと、日本の侵略と植民地統治について直接に言っていないと伝えた。
「反省」と「お詫び」については多くのメディアが報じ、とりわけ、「謝罪し続ける使命を背負わせてはいけない」というくだりについて、中国は「日本は今後謝罪するつもりがないのか」ととったようだ。