米カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くキリバ(Kyriba)は、トレジャリー・マネジメント(財務管理)に特化したサービスを提供する企業。2003年からグローバル市場向けに事業を展開している。「キリバ・エンタープライズ」というクラウドアプリケーション(SaaS)を世界100ヵ国以上で提供し、ユーザー企業は1000社、アカウント数は4万5000を突破した。同社のCEOであるジョンルーク・ロベール氏が来日し、企業に求められているリアルタイムな資金管理と、キリバの強みを語った。(取材・文・撮影/ダイヤモンド・オンラインIT&ビジネス 指田昌夫)

グローバル事業展開する企業が
直面する資金管理の課題を解決

キリバのジョンルーク・ロベールCEO Photo by DIAMOND IT Business

――資金管理クラウドとして、キリバを採用する大手企業が増えています。

ジョンルーク・ロベールCEO(以下・ロベールCEO) 当社の主力製品である「キリバ・エンタープライズ」は、金融機関の口座管理システムと企業ITの仲を取り持つことに特化した、ピュアクラウドのサービスです。

 運用コストが安く、短期間で導入できるクラウドサービスのメリットを持ちながら、世界の主要金融機関と提携し、接続している信頼性の高いプラットフォームでもあります。企業システム側も、主要な48のERPと接続が可能です。

 つまりキリバを使えば、ベンダーを問わず企業ITと世界の金融機関を自在につなぎ、従来は手作業で入力していた企業のキャッシュ管理を自動化することができます。この中立的な立場を貫いていることが、最大の特徴です。

――大手企業であれば、たいていは大手ITベンダーのERPを導入しています。そのベンダー純正の資金管理アプリケーションもあるはずですが、なぜ、企業は純正品を選ばずにキリバを選択するのですか? あるいは、グローバル展開している金融機関の資金管理サービスとは、なにが違うのですか。

ロベールCEO 大手ITベンダーの金融ソリューションは、総じて高価で、機能も複雑です。日本市場でもあまり導入が進んでいないと聞きます。そのため、クラウドサービスのキリバをまず試そうという企業が増えているのでしょう。

 また、仮にグローバルに利用できる大手金融機関の資金管理サービスを使っていたとしても、海外の子会社が別の銀行の口座を開設することは、頻繁に起こりえます。そうした場合でもキリバを使えば、国内にいながら世界中の拠点が持っている銀行口座の残高をリアルタイムに把握することができます。